教育新聞ニュースA
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40 【相談】茶髪の生徒と保護者にどう接する ◆生徒やその保護者との接し方で悩んでいます。例えば、生徒の茶髪をやめさせようと保護者を訪ねたのに、親が茶髪で子にも茶髪にして良いと言っているような場合、どのように解決すればいいのでしょうか。―――大阪府、進学塾・中学校講師の男性(29)

【回答】山田中学生問題研究所代表 山田暁生 ●「親は子の鏡なり」とよく言われます。何かというと、学校の教師の指導力が批判の的になりますが、「親は第1の教師」です。良きにつけあしきにつけ親の影響は大きい
と言わざるを得ません。
 子供は流行の波にのって、「茶髪にしたい」と言い、親もそれを容認するだけでなく、茶髪にすることを勧めてさえいる。あなたは「これでは指導をしても全く効果がない。しかし、見て見ぬふりを続けるわけにもいかない。あの子の問題は茶髪にも表れている。まず、それをどう指導したらよいのか」と悩んでいるのですね。
 先日会った中学校の先生は「困ったものというか、うちのクラスで保護者会をもったら、何と茶髪父母会なんですよ。私は生徒の茶髪問題をそこで話題にすることが出来ないで会を閉じました」と話していました。テレビで子供たちがあこがれているタレントやアイドルの多くは茶髪。この影響も大きいですね。
 親子の意識を変える努力は、すぐ実を結びそうにありません。むしろ、教師側でこの問題をよく話し合い、茶髪を直させるのに注ぐ大変なエネルギーを、その子が内面に持つ本質的な問題(不安、悩みなど)の解決をどうしていくかに注いだ方が良いかもしれません。茶髪を黒髪にと、この点だけ直させようと力を注いでも、そういう親なら更に反発が強まるだけです。学年職員会議などで問題提起し、同僚とも討議、研究して、全職員合意の上で指導の手順を決め、進めてはどうでしょう。あなたの思いだけで進めてもうまくいかないかもしれません。
 形は心の表れとも言いますが、心が変わらない限り、次々と問題が表れてきます。茶髪だけを注意せず、親の言い分も傾聴しながらじっくり時間をかけて話し合い、受容の姿勢を示しつつ、こちらの言い分も機をみてきちんと出していってはいかがでしょうか。親の理解と協力を抜きにして、この問題を良い方に進めることはできません。
39 【相談】娘のやる気を引き出すには ◆中1の娘が心配です。性格かもしれませんが、遊ぶときは元気なのに、勉強や学校の行事などにはとにかくやる気がないのです。この夏休みも、友人と遊ぶ以外は家で寝てばかり。どうしたら自発的に活動するようになるでしょうか。また、親はどこまで干渉していいのでしょうか。今考えると、私は結婚後も仕事を続け、放任していたかなと思います。      ―――千葉県、栄養士の女性(41)
【回答】 教育評論家 尾木直樹  ●「遊ぶことには元気」な中1の女の子。こう聞いただけで、「うらやましいな」と思う母親も世の中には多いはず。なぜなら、わが子が急に自室に引きこもってしまって家族と口もきいてくれない、友達が1人もいなくて家の中でテレビゲームばかりしている、2学期が始まったら学校に行かなくなってしまった−−などという悩みを抱える親も多いからです。
 でも、親の宿命でしょうか。その大小を問わず、わが子の弱点が親の目にはやたらと大きく映るようです。これも、「もっと立派に成長してほしい」という親の願いです。視点を変えると、それだけ親の愛が強い証拠と見ることもできます。あなたの思いも、きっと「親だからこそ」生じる要求であり、愛情なのだと思います。
 ところで、娘さんはなぜ勉強や学校の行事などにはやる気が出ないのでしょう。お母さんは、「性格かもしれない」と考えているようですが、どうも違うように思います。もちろん、やる気の表現法には個人差が大きいのですが、本来、子供はどの子もやる気いっぱいです。ものごとへの興味や関心の塊といってもいいほどです。
 きっと何らかの理由やそうなった背景があるはずです。それらの原因をつかむことが先決です。お母さんが仕事に追われて、わが子の結果だけしかほめなかったり、できなかったとか失敗したことばかり責めたてたりしてこなかったでしょうか。結果よりも、取り組む過程の姿勢や努力などを第一に認めることを地道に積み重ねていけば、必ずどの子もうれしくて頑張るものです。
 結果より、どんなに小さくても、わが子の前進面や気持ちを認めることを丁寧に繰り返してみてください。子は、このような母親の地道な対応の変化の中に愛情を察知し、少しずつ勉強や行事にも意欲的にかかわるように変化するはずです。
 でも、欲張りすぎることはやめましょう。「無理しなくてもいいのよ」と、わが子の今のあるがままのすばらしさを評価することも忘れないでください。

回答者 おぎ・なおき。東京都内の中・高教諭、東京大教育学部講師などを経て、19
94年4月から臨床教育研究所「虹」を主宰。「放送と青少年に関する委員会」(NH
K、民放連)副委員長。教育臨床学が専門。「子どもの危機をどう見るか」(岩波新書)
など著書多数。
38【相談】英語の指導方法について ◆中学1年生の英語をマンツーマンでみていますが、期末試験で正解が半分に満たず、問題の意味がよく分からないと言います。週1回1時間の指導では、教科書の単語のチェックや音読、日本語訳をし、特に音読に力を入れています。この生徒が問題の答え方が分からないのか、問題そのものの意味が分からないのかいろいろと考えてしまいます。一対一でどのように指導したらよいのでしょうか。     ―――千葉県、英語教室講師、女性(35)
【回答】   教材・授業開発研究所代表 有田和正  ●「問題が分からないようだ」では困ります。きっちりと確かめてみることです。内容が分からないから問いの意味が分からないというケースは、子供の場合よくあります。また、早合点して「問いの意味を取り違える」ということもよくあります。しかも、決まった子がこういうミスをします。
 つまり、ある傾向のようなものがあるということです。小さなミスを常にする子がい
ますが、こんな子はほかのことでもよくミスをします。 あなたの教え子は、そんな傾向を持っていませんか。もしそうならばこの傾向に気づかせて、見直しや読み直しをきちんとする癖を身につけさせる工夫をすべきです。
 もし、文章が分からないのなら、国語の方に問題があります。国語は勉強の基本です。英語は、音読が大切です。声に出して話すように読めると、とても興味を持ちます。覚えさせることより、楽しく話せるようにすることをお勧めします。
 一対一なら、英語だけで話してみることです。基本文型をしっかりおさえ、単語などを部分的に変えることによって、多様な活用ができ、会話が成立します。英語ほど基礎的な文型の大切な教科はありません。しかも、基礎的な文型はとても応用がききます。これをしっかり教え、繰り返し、前述のように単語などを変えて会話を試みて下さい。 中学1年生でも夏になると会話が可能です。これで楽しみも増します。会話してみると、分からなかった文意も分かってきます。
 もし、問題の意味が分からないのなら何度も何度も文を読ませ、何を問うているか読みとらせる訓練を、楽しくすることです。
37 【相談】高3の弟との不仲 ◆高校3年の弟と仲が悪く、ほとんど話もしません。先日、部屋でたばこを吸わないよう注意したところ口論になり、その後、弟が花瓶をバットで割ったため注意すると、またけんかになりました。私は弟が大嫌いで、家に弟がいると思うと憂うつで安らげません。アドバイスをお願いします。        ―――千葉県、大学4年の男性
【回答】札幌自由が丘学園代表 亀貝一義 ●相談を受け取って、考えました。いろいろな人と相談もしました。結局、アドバイスなどでなく私的なコメントをしようと思います。一つの参考にしてください。
 あなたにとって弟さんが「憂うつな存在」なのと同様、弟さんも「こんな兄などいない方がいい」と思っているに違いありません。 兄弟の関係では、女性よりも男性の方が疎遠です。私にも弟が一人いますが、話し合ったのは小学生の時とお互い社会人になってからで、中高生時代には口論やけんかをしたことぐらいしか記憶がありません。他の人に聞いても大同小異です。大人になって、親や仕事のこと、その他共通のテーマができたときに話し合うことがあれば、それでいいと考えたらどうでしょう。
 弟さんの性行、例えば喫煙などを注意する(しかる)のは、兄弟に限らず隣人として当然ではあっても、兄に注意されたりしかられたりしたのを、弟は自分が一種否定されたことのように受けとめたのではないでしょうか。
 子供の勉強でも、親はなかなか適切に指導できない例が多いのです。「どうしてこんなことが分からないの」としかってしまうのですね。これでは、対等な関係から生まれる親密な人間関係でなく、指導者と被指導者の関係になってしまいます。どうしたらいい人間関係ができるかの一つの参考例といえます。
 もし弟さんの喫煙が気になるなら、親にゆだねた方がいいのではないかと思います。一番身近な兄が責任を感じるのは正しいのでしょうが、時期尚早のきらいがあります。同居していても没交渉という関係をしばらく続けてはどうですか。時には、冷却期間が有効な場合があります。
回答者 かめがい・かずよし。私立高教諭(社会科)を退職後、1990年から札幌自由が丘教育センター専従役員。不登校の児童、生徒のための居場所、学びの場所として93年11月にフリースクール「札幌自由が丘学園」を開設、運営にあたる。専門は不登校、中退、進路指導など。
36 【相談】専門学校生の妹の不登校 ◆専門学校生の妹が登校しなくなりました。小学校と高校でも一時期行かなくなり、専門学校入学と同時に一人暮らしを始めましたが、5月から不登校になりました。「もうやめたい。仕事には就きたくない。何もしないで一生暮らしたい」などと言っています。両親は、学校に行かなくなったら、この先、生活していけないのではないかと心配しています。家族は妹にどのように接するべきでしょうか。       ―――宮城県、女子学生(21)
【回答】月刊教育誌「ニコラ」編集発行人 馬場章  ●妹さんが学校に通えなくなるのを心配し、尽力されてきたことはよく分かります。ただ、親が子育ての基準としたものは何であったのか、日々の生活の中でどういう親の姿を子供に見せてきたのか、妹さん自身が内心そのことをどう考えていたのか−−が分かりにくい状況です。
 もしかすると、妹さんは頑張ろうにも何のために頑張るのか分からないまま暗中模索し、何ごとも思うようにいかなくて投げやりになっているのかもしれません。そういう場合、「人生はそんなに甘いものじゃないよ」などと妹さんを叱咤(しった)激励する方法は、プレッシャーを与えるだけで、逆効果になってしまうことも考えられます。
 妹さんは小学生のころから心の問題を抱えながら、何とか周囲の期待に応えたいと頑張り、家族も表面的に問題がなければひとまず安心ということになっていたのかもしれません。が、実際のところ、根本的なことは何も解決されてこなかったような気がします。このままでは、また同じことの繰り返しになる恐れがあります。
 妹さんの場合、「引きこもり」に見られる精神的な問題も視野に入れた方がいいかもしれません。引きこもりには、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いがあるという心理学者もいます。たとえ激しい精神的ストレスは受けていなくても、長期にわたって精神的な抑圧状態にさらされた場合、一種のトラウマを抱えてしまうことがままあります。
 家族の理解ある接し方も大切ですが、思い切って信頼できる心療内科などでしっかりカウンセリングを受けることをお勧めします。「家族だからできる」こともあれば「家族だからできない」こともあるのですから。
回答者 ばば・あきら。学習塾勤務を経て「ニコラ」を発行。フリースクール「ぱいでぃあ」も主宰。不登校、中退、引きこもり、子どもの育ちや学び、進路などの相談活動。著書に「行ってみないかこんな『学校』」(ハート出版)など。
35 【相談】人との関係が苦手  ◆現在、高校を休学しています。人間関係がうまくいかず、米国に留学するのですが、それも行き当たりばったりです。私の人生はすべてそうだったかもしれません。小さいころから愛想が良く、人の嫌がることなど何もしないのに悪口を言われました。そんなことが嫌で、英語を勉強して留学することに決めました。でも、一対一のおしゃべりが苦手で、親しい人でも気まずくなります。米国でやっていけるか不安です。       ―――東京都、女子高生(15)

【回答】 子ども家庭教育フォーラム代表、千葉明徳短期大学幼児教育科客員教授 富田富士也 ●あなたは、自分の歩んできた道を「行き当たりばったり」と否定的に見ているようですが、そう言い切りたいほどに、自分自身へのいらだちやじれったさを感じているのではないですか。「ここぞ」という時に「楽」な方へと逃げてしまう、自分の心を持て余しているような気がします。
 これまでの人生が成り行き任せだったかどうかは分かりません。ただ、他人の意見にくみして裏目に出ると、「もっと自己主張していれば」と悔しくなり、自分が行き当たりばったりに思えるものです。でも、今そのことに気付いたとしたら、もう行き当たりばったりの人間ではありません。
 正直に真っすぐ生きようというあなたの姿勢が周囲にはまぶしく、時に違和感を抱く対象となったのでしょう。それは理不尽なことですが、親しくなるに連れて生まれる人間関係の煩わしさなのです。ただ、煩わしさも人間関係があればこそで、いつもすっきりした関係ばかり望んでいると孤独に陥ったりします。傷つく危険性を背負ってこそ、癒やされる機会に巡り合えると言えます。傷つくことを恐れ、癒やしてもらう機会だけを探していては、いつまでたっても自分の行動に自信を持てません。
 人間関係は、常に変化するものです。すぐに結論を出さず、巡り合った関係を大切にしてください。関係から逃げたり、断ち切るという発想ではなく、「休息」をとって互いの関係を見つめてみることです。そうすると、人間関係を深めることが怖くなくなります。米国に旅立つ前に、ぎこちない関係の友人と話す努力をしてみてはいかがですか。話し過ぎないよう、聞き過ぎないよう、のんびりと話してみてください。 
回答者 とみた・ふじや。学校・家庭教育を専門に、コミュニケーション不全に悩み、引きこもる若者たちのカウンセラーとして活動。著書に「新・引きこもりからの旅立ち」(ハート出版)など。
34 【相談】 息子にがっかりした自分  ◆小学2年の息子とささいなことで言い合いになり、「出ていきなさい」と言ったら、ランドセルを背負って家から出ていきました。しばらくたっても帰らず、雨も降り出したので探しにいき、通学路の途中で見つけて家に連れて帰りました。私も言い過ぎた部分があると反省していますが、「出ていけ」と言われ出ていく子供の先行きが心配です。子供は「ごめんなさい」とは言いましたが、今度のことで私は心中がっかりしています。この子をどう理解し、接していったら良いでしょうか。       ―――埼玉県、主婦

【回答】恵泉女学園大教授 大日向雅美  ●「心中がっかり」とは大変思いつめている様子ですが、子供の態度を問題にする前に、あなた自身の言動を反省してみる必要はないでしょうか。
 子供が家出したのは、あなたが「出ていきなさい」と言ったからでしょう。言葉のあやで親が出ていけと言っても、子供は「ごめんなさい」と泣いて謝るべきだというのは、親の一方的な言い分です。子供も小学2年生くらいになれば、自我も自尊心もしっかりと芽生えてきますから、親も子供の心を尊重した接し方が必要です。
 一方で、子供も生意気になって親に口答えをする場面も増えますから、親はついカッとなってけんかしてしまいがちです。「出ていきなさい」の一言は、そうした状況下で売り言葉に買い言葉となって発せられたのではないかでしょうか。
 いつもは言うことを聞かないくせに、こういうときだけ親の言うとおりに家出してみせるなんて、あてつけがましい、とお思いかもしれませんが、ランドセルを背負って家を出る時の息子さんの小さな胸の内も考えてみましょう。親の理不尽さへの怒り、無念さ、緊張と不安などで張りつめていたことでしょう。意地から虚勢を張ってはみたものの、お母さんが引き止めてくれることを期待していたと思います。お母さんが心配して
探しに来てくれて、どんなにうれしかったことでしょう。だから「ごめんなさい」が言えたのだと思いませんか。
 子供も大きくなるにつれてだんだん扱いにくくなりますから、こうした親子げんかの光景はどこの家庭でも見られますし、親は振り上げたこぶしの下ろし方に困惑するようです。でもここで大切なのは、親のメンツにこだわらないことだと思います。いくら生
意気を言ったとしても、相手はまだほんの子供です。親は無用なメンツを捨てて、こだわらず、素直に自分の感情や考えを伝えつつ、ゆったり構えてあげてください。

回答者 おおひなた・まさみ。保育専門学校専任講師、恵泉女学園大助教授を経て、1992年4月から現職。子育てや母性、家庭問題、心理学などが専門。文部科学省の「今後の家庭教育支援の充実についての懇談会」座長。「母性の研究」(川島書店)など著書多数。
33 【相談】部活のあり方に疑問  ◆中学1年の息子が、部活のコーチと3年生の先輩に丸刈りにされました。部員10人ほどが丸刈りになったようです。後日、保護者が集まってコーチ同席で校長と話をしました。コーチは元インターハイ選手でボランティアで、辞表を出しましたが、校長のとりなしで私たちも我慢しました。3年のレギュラーの保護者はコーチを褒めますが、練習はレギュラー中心で1年生は走るだけです。大会では優秀な成績を残しますが、部活に求められているのとは違うと思います。   ―――兵庫県、主婦 

【回答】埼玉県退職校長会幹事 清水章夫  ●中学校では野球、サッカー部など、男子部員の丸刈りが伝統の運動部が多いようです。清潔感、行動性、仲間意識の共有などの観点からだと思います。入部の条件として先輩に指示され、生徒が自発的に丸刈りにするのが普通で、学校側も保護者の意見などを聞き、その良さを認めて追認しているようです。しかし、本人にとっては中学生になっての最大の試練で、なかなか実行できない。そこで、不履行者を集めてということになったのでしょう。
 学校長もことの重大性を認識し、翌日保護者との話し合いを行った。そこでは、最後の大会を迎える3年のレギュラー部員の保護者を中心にコーチ支援の発言が相次いだ。そして、校長が今回の失態と日ごろの実績とを勘案し、コーチの辞表を撤回させた−−ということのようですね。
 中学校の部活動は、社会性や人間性の育成、将来スポーツなどを楽しむ基礎を育てる場です。勉強から解放され全力で打ち込める楽しい時間であり、本音で付き合う真の心の友をつくり、人間関係の厳しさも学べる場になるなど、多くの教育的意義が認められています。
 しかし、今、学校は教師の高齢化や多忙さなどから深刻な指導者不足に悩み、部活がなくなるなどの問題が多発しています。こうした中でのボランティアのコーチはとても貴重な存在です。今回の事態を除けば、このコーチも指導力、技術力、掌握力などに優れた素質を持っているようです。また、狭い運動場で多くの部員を抱えての練習は、どうしてもレギュラーが中心となりますが、それでも基礎的体力づくりは必ず成果が表れることでしょう。
 中学1年の最初の1学期は、小学校とがらっと変わり、楽しみも悩みもいっぱいの時期です。この危機を乗り越えるには、家庭での決然とした指導と温かい心の支援こそが大切です。コーチも子供たちも、そして親も、互いに育て合うものではないでしょうか。
回答者 しみず・あきお。浦和(現さいたま)市立中学校教諭、市教委学校教育部長、市立常盤中校長などを経て、1992年4月から1年間、埼玉県中学校長会長を歴任。現在、聖学院大学などの講師も務める。学習・進路指導や学校経営が専門。著書に「未来を開く学校教育を問う」(世界通信)など。
32 【相談】 中2の長男が不登校に ◆中学2年の長男が不登校になりました。原因は分かりません。「いじめは無かった」と担任から聞いています。小学校でも10日ほど不登校になりました。一時は焦って怒り、学校へ行くようしつこく言いましたが、今は言わないようにしています。家では普通に会話し、食事、テレビなどを楽しんでいますが、ほとんど外出せず、友達とも遊びません。普通に学校へ行くのは無理なようなので、家庭教師とフリースクールのことを話したのですが、受け付けません。学校へ普通に通う生活を望んでいますが、この先どうすればいいのかでしょうか。      ―――京都府、主婦

【回答】 月刊教育誌「ニコラ」編集発行人 馬場章  ●不登校は、明らかに友達のいじめや先生の言動が原因の場合もありますが、「何となく不登校」という、第三者には分かりにくいものもあります。この場合、本人の気持ちとじっくり付き合う姿勢が大事で、何げない会話の流れから、本音を吐露しはじめることがあります。そのためには、家庭の雰囲気が抵抗なく本音を語り合えるものかどうかがポイントとなります。
 相談に「普通に」という言葉が何度も出てくるのがちょっと気になりました。ふだん、「普通に」という価値観を無意識に、子供に押し付けていなかったでしょうか。「皆と同じように」という思いは、親心としては分かりますが、時に子供を見る目を曇らせ、ありのまま受け止めるより否定的に見ることを優先させてしまう結果を招きます。
 絶えずそういう視線にさらされていては、子供も前向きに生きようとする意欲がわいてこなくなります。親から愛されている、認められているという自尊の思いが意欲的、自発的な行動をも促すものなのです。
 また、学校に行くこと、行かないことを本人はどう考えているのか。家庭教師やフリースクールの話もしていますが、「学校に行ければ解決」「学校に行けないからフリースクールで」というのではなく、まず、どうすればお子さんが自分らしく活動することができるようになるのか。これらについて、本人の言葉にじっくり耳を傾けてみることから、解決の糸口が見つかるのではないでしょうか。フリースクール等の選択は、その後で子供が望んだ時に考えるべきだと思います。 時には「普通ではない」方法が最適な場合もある、ということも視野に入れ、お子さんの現在と将来のために柔軟に対応するようお勧めします。

回答者 ばば・あきら。学習塾勤務を経て「ニコラ」を発行。フリースクール「ぱいでぃあ」も主宰。不登校、中退、引きこもり、子どもの育ちや学び、進路などの相談活動。著書に「行ってみないかこんな『学校』」(ハート出版)など。
31 【相談】いじめる子にどう対処すべきか ◆アルバイトの塾講師です。指導している小学6年生から、いじめをしていると打ち明けられました。同級生に「死ね」などと言って、かばんに落書きしたりするそうです。現場を見たわけではありませんし、いじめられている子のことも知りませんが、その子は「むかつく奴がいる」と言うのです。子供の将来のために、塾講師という立場で何ができるでしょうか。       ―――愛知県、女性大学院生

【回答】日本航空学園日本教育相談研究所副所長 木下貴博 ●だれしも子供に注意をする時、勇気が必要になります。しかし、あなたがその子のことを真剣に考えているのであれば、たとえ塾の先生であっても注意すべきだと思います。話すタイミングは、子どもが再び、自分はいじめをしていると話してきた時が一番いいと思います。
 感情的に怒る特権は、親だけにあるのであって、私たち周囲の人間は客観的に注意することが必要です。特に最近の子どもたちは、怒られることに慣れていませんから。
 諭すような言い方で、自分の失敗談や経験談も交え、「いじめることで自分のフラストレーションを発散できるかもしれないね。だけどね・・・」というふうに話してみてください。注意されているのではなく、相談をしているような感じになることが大事なのです。
 「いじめは良いはずはない」と、多かれ少なかれ、子供自身が思っているに違いないのです。その気持ちを十分に引き出してあげることが何よりも大切です。その子のことを肯定してから、話すようにしましょう。論破しても逆効果です。頑張ってください。
 
回答者 きのした・たかひろ。1962年東京都生まれ。学生時分から学習塾、フリースクールを経営、前日本フリースクール協会事務局長を経て現職。不登校、教師と保護者間の問題などに取り組む。著書に「6歳から15歳の不登校−新しい対応と試み−」(日本教育相談研究所)。
30 【相談】 進路で長女と平行線◆中学3年の長女は1年生の時から成績が良く、上位の高校を目指すと思っていました。ところが、「レベルの高い学校で勉強に追われるのは嫌。かわいい制服を着たい。公立でお金がかからないようにするから」と言うのです。県内一の高校と国立の大学院を出た夫は「大学進学のことも考えれば、上のランクを目指すべきではないか」との意見ですが、頭ごなしに言わず、娘の意見を尊重すべきでしょうか。話し合いは平行線のままです。        ―――山形県、主婦

【回答】 河合塾顧問・河合文化教育研究所所長 丹羽健夫
●私などは、「トップ校に入れるのにもったいない」と思ってしまいます。「かわいい制服を着たい」との気持ちがお母さんには理解しがたいことも分かります。 お嬢さんは、トップ校では勉強漬けになってしまう印象を持っているのかもしれませんが、必ずしもそうではありません。ほとんどが、文武両道など幅広い人間の育成を教育の目標としています。
 しかし、トップ校に入る子には元々勉強能力に優れた子が多く、研究者や医者などの高級技術者や上級職公務員、大会社の経営者などを希求している人も多いでしょう。多くの子が進路を考える時に、まず比較的難関の大学を意識するのは当然でしょう。 そして、そこには、一つの集団としての雰囲気や共通意識が生まれます。風土として勉強重視になるのも自然の成り行きでしょう。逆に屈折し、がり勉蔑視のケースも出てくることもありますが、いずれにせよ同根でしょう。 トップ校に入学して、すぐに退学する子がいます。「ここは私の居場所ではない。勉強ばかりではない高校生活をエンジョイしたかった」というわけです。 子供が自分の近未来に対して持つイメージは大切ですし、強固なものだと思います。お嬢さんの「かわいい制服」という言葉が気になります。「服装ごとき」と切って捨てられない彼女自身のイメージを表象する氷山の一角、象徴のように思われます。
 お嬢さんの高校生活のイメージは、トップ高校のイメージとはかなり隔たりがあるようですね。「公立に入ってお金がかからないように」という言葉にも、考えた上での彼女なりの計画性を感じます。
 私は十分な情報を持っていないし、当事者でもないので、どうしたらいいか断定はできません。ただ、勉強面について一つ付け加えると、お嬢さんは良好な成績を維持してきたうらやましい才能の持ち主です。このような子は、最強集団の中で普通でいるよりも、比較的楽な集団で上位にいるほうが学力の根っこを広げ、将来あるレベルが必要になった時にそれを獲得するためのパワーを温存しやすいのではないでしょうか。
回答者 にわ・たけお。河合塾理事・進学教育本部長、全国進学情報センター所長などを経て、2001年から現職。教育の現場から制度まで、教育関係全般を専門にする。著書に「悪問だらけの大学入試」(集英社)など。
29 【相談】息子と父親が衝突 ◆中学3年の息子は受験を控えて頑張っていますが、反抗期で何を言っても「うざい」としか返ってきません。父親が息子の口の利き方や態度などを注意すると、息子は「自分だってやってるだろ」などと言って反抗します。父親は部屋まで追いかけて、どなります。息子は「お父さんはむかつくんだよ。すぐにだれのおかげでメシ食っているんだと言うし。自殺したいよ」「お父さんを殺して僕も死ぬ」などと言います。こういった言葉を聞くと怖いです。どうすればよいでしょうか。      ―――埼玉県、主婦(42)

【回答】 札幌自由が丘学園代表 亀貝一義  ●息子さんは、口で言うほど父親を憎んでいるのではないと思います。むしろ、お父さんの態度の方が気になります。親は子供にとって「先生」です。場合によって、まず子供の言動をすべて包容することが必要です。どんなに腹立たしくても、まずは受けとめること(受容)です。大人(先に生まれたという意味で先生)は、この受容能力を身につけてほしいと思います。これがあれば、息子さんの問題は基本的に解決するのではないでしょうか。
 しかし、実際にはそうなっていないのです。ここからがお母さんの出番です。あなたの子供への気持ちは痛いほど分かります。父親はややもすれば自分の苦しみの過去、あるいはハードルを乗り越えてきた過去をベースにして子供に接します。「どうして親に素直になれないのだ」「こんなことができなくては生きていけない」「他人と競争して勝つぐらいの気持ちを持て」「世の中は甘くない」など、数えればきりがありません。
 青春期の男の子は女の子よりもはるかに、親との関係が表面的に疎遠(を装う)です。母親は、「子供の気持ちを知ることが先決」と厳しく夫に迫らなければなりません。しかし、息子は時には、母親に対する以上に父親に心を開きません。それが男親と男の子の当然の関係なのです。
 子供の抱える問題を父母が共有できて、親子関係だけでなく夫婦関係も一段と高まった、とよく言われます。そのために、母親がまず強くなることです。

回答者 かめがい・かずよし。私立高教諭(社会科)を退職後、1990年から札幌自由が丘教育センター専従役員。不登校の児童、生徒のための居場所、学びの場所として93年11月にフリースクール「札幌自由が丘学園」を開設、運営にあたる。専門は不登校、中退、進路指導など。
28 【相談】 集中力不足の息子 ◆小学3年の息子は集中力が足りないようで、漢字は間違って覚えたまま、算数の文章問題は読みもしません。運動はあまり好きでないらしく、サッカーは渋々やるものの、「あと何回で終わり?」としつこく聞きます。交友関係も活発でなく、休み時間は独りで一輪車の練習をしているとのこと。ゲームは禁止したのでやっていませんが、夕食後は古いおもちゃを出してきて遊んでいます。塾やスイミングにも通っているから本人は十分と思っているかもしれませんが、このまま高学年に進むのは不安です。           ―――千葉県、女性

【回答】教育評論家 尾木直樹
●相談から、息子さんを愛している様子が伝わってきます。頭を痛める気持ちはよく分かります。けれども、塾やスイミングに通い、文字はていねいに書き、計算もスラスラできて、その上「ゲームは禁止よ」という注文も受け入れなければならないとしたら、大変ではないですか。
 まだまだ母親が大好きな年ごろ。あまり好きでないサッカーに、「あと何回?」と尋ねながら付き合っているのも、母親が喜び、満足してくれることがうれしいのです。そのため逆に、お母さんの細かい指示に従う「おりこうさんロボット」になることに、少し疲れているのかもしれません。
 夕食後くらい、遊び慣れたおもちゃでゴロゴロしていたいのではないのでしょうか。友達が話していた新しいゲームをやってみたいなあ、と母親に言えない気持ちを紛らせているのかもしれません。
 この際、子の一挙一動を見つめるのをやめてはいかがでしょうか。子育ては、親の思いが強ければうまくいくわけではありません。親が理想とする子供像へとわが子を導くことでもありません。子供の目線に立ち、子供の心になって相互関係を豊かに形成しながらリードすることが、一番大切なポイントです。「集中力がない」と言いますが、お母さんのきめ細かな指示や生活スタイルの中で、お子さん流の主体性が確立できず、落ち着かないのかもしれません。
 スポーツやゲームなども、他の子より上手か下手かという視点だけで見られては、子供は自信もやる気もなくします。「このごろ学校はどう? 一輪車には乗れるようになった? 今度見せてね」など、子供が頑張っていることに心を寄せ、共感することから始めてはいかがでしょう。
 これだけの頑張り屋です。やがて自分の頭で考え、しっかり成長を遂げていくことでしょう。もっと信頼して、のんびり付き合っていいように思います。

回答者 おぎ・なおき。東京都内の中・高教諭、東京大教育学部講師などを経て、1994年4月から臨床教育研究所「虹」を主宰。「放送と青少年に関する委員会」(NHK、民放連)副委員長。教育臨床学が専門。「子どもの危機をどう見るか」(岩波新書)など著書多数。
27 【相談】 娘の不登校  ◆小学6年の長女は4年で生理が始まり、学校を休みがちになって、4か月ほど登校しませんでした。5年でも登校できない時期はあったのですが、6年になると元気に登校を始め、学校が楽しいと言っていました。ところが、5月に突然、登校できなくなりました。いじめはないようです。主人は「行きたくても行けない」という娘の気持ちが理解できないようで、勉強の遅れを気にしています。6年になってからの張り切り方では疲れるのも当たり前で、不安だらけの毎日だったのでしょう。子供の気持ちを分からず、申し訳なく思います。どうすればよいでしょうか。        ―――兵庫県、主婦(41)

【回答】 恵泉女学園大教授 大日向雅美  ●小学校高学年から中学生にかけての思春期は、心身ともに最も不安定になりがちです。体が大きく変わり始め、心にも自我が芽生え、周囲の反応に過剰に敏感になったり、ささいなことでコンプレックスや葛藤(かっとう)を覚えたりします。
 心も体も大きく揺れ動き、自分が分からなくなり、親や教師、大人に反抗的になったり、逆に引きこもったりして、対人関係がうまくいかなくなるのも特徴です。誰もが程度の差はあっても、人生の中で一度は通る「疾風怒とう」の時期です。
 娘さんには不登校という形で思春期の揺れが表れ、ご両親は悩んでいると思います。勉強の遅れを気にする父親の心配もよく分かりますが、学校に行かなくてはいけない、と一番苦しんでいるのは娘さんで、登校のことばかり考えているはずです。思い詰めたように、突然学校に行き始めたりするのがその結果です。
 でも、学校はほんの2、3日休んだだけでも、行きづらくなるものです。特に思春期はどの子も心の揺れを抱えているので、休んだ友だちを思いやり、優しく接することができない傾向にあります。大人にはいじめと見えなくても、子供たちの間では厳しい駆け引きが展開されていることもあります。その輪の中に居づらくなって、上手に適応できない子も出てきます。
 娘さんをいたわる気持ちを伝えてください。親が自分のつらさを理解してくれていると分かるだけでも、子は外の世界に踏み出していこうという勇気を持てるのです。娘さんが自分から学校に行くエネルギーを持っているのは、すばらしいことです。
 お父さんが一方的に子を批判して追いつめることのないよう、夫婦でよく話し合い、連携プレーを心掛けることが大切です。学校には行くべきだと、背中を押す厳しさも必要でしょう。でも、厳しい言葉を発する時には、それだけ子を案じているという気持ちが十分伝わるようにしてほしいと思います。
回答者 おおひなた・まさみ。保育専門学校専任講師、恵泉女学園大助教授を経て、1992年4月から現職。子育てや母性、家庭問題、心理学などが専門。文部科学省の「今後の家庭教育支援の充実についての懇談会」座長。「母性の研究」(川島書店)など著書多数。
26 【相談】 車いすの子に配慮を ◆PTAの役員をしている小学校の児童の中に、車いすで通う男子がいます。3年から2階の教室で勉強することになったため、学校とPTAは「エレベーターを設置してほしい」と市や市教委に要望していますが、市側は「予算がない」と現状を見に来ることすらしません。「子供にやさしい環境の学校づくり」をスローガンに掲げる市教委の、あまりにも親身ではない対応に困っています。         ―――奈良県、男性

【回答】 早稲田大教授 下村哲夫  ●心身障害児の教育では、障害児と健常児を合わせた統合教育が進むにつれ、健常児のグループが障害児の日常を世話するようになるというような事例が、マスコミでも紹介されています。
 しかし、大都市では少子化が進み、1学級の人数が少なくなる結果、障害児を世話する回数が増え、それが負担になるせいか、世話する子供が減り、中にはそれを理由に転校を希望する保護者が出てくるほどです。
 残念ながら、現在までのところ、直接に障害児と接触している先生はともかく、その他の先生の障害児に対する関心はあまり高いとは言えません。まして、担当部局の市職員となると、よほど障害児の教育に熱心でない限り、「予算がないから」で片づけようとするでしょう。
 車いすでの通学では、階段の多い学校は大変です。実は、私も数年前に脳出血で左半身が不自由になり、車いすで勤務していますが、大学はもともと元気な若者の行き来するところですから、階段に限らず段差が多く困ります。
 小学校でも、世話役の子供が車いすを自分たちの力で2階から1階に降ろそうとして転落し、車いすに乗っていた子が重傷を負い、その賠償を巡って裁判で争われた例があります。車いすでの階段の上り下りは、教師がいても危険を免れません。
 やはり、エレベーターが必要です。危険を予知しながら予算不足を理由に見送るのは、不作為により事故を見過ごすもので、学校側は無論、市にも責任があります。
 ただし、3年生から2階という学校の慣行にも再考の余地はあります。この子の在学中、教室を1階にすることも考えられます。そのあたりは、校長とじっくり相談してください。

回答者 しもむら・てつお。香川大助教授、筑波大教授などを経て、1997年4月から早稲田大教育学部教授、筑波大名誉教授。教育法制論、教育経営学が専門。「学校事件―そのアカウンタビリティ」(ぎょうせい)、「平成の教育」(教育出版)など著書多数。
25 【相談】部活でいじめ ◆中学2年の息子が、部活の1年先輩のいじめを受けています。後輩なら誰でもいじめるようで、練習中に足をかけて転ばせたり、無理にCDなどを売りつけたりします。そのため部活に来ない部員も何人かいます。顧問の先生は「7月の総体が終わったら、3年生をシャットアウトする」と言いますが、部活外でも因縁をつけられ、乱暴されます。担任は「警察に被害届を出してほしい」と言うだけ。学校は何の対策もしてくれません。登校拒否にならないか心配です。  ―――香川県、主婦(48)

【回答】 開善塾教育相談研究所主任相談員 藤崎育子
●いじめは、すぐに指導することが原則です。総体が終わっても、3年生が卒業後も含め、部活外で後輩たちへのいじめを繰り返すことは十分予想されます。校長、教頭に状況を話してみてはどうですか。顧問や担任だけでは抱えきれない問題だと思います。 被害に遭った生徒の保護者と一緒に、学校に訴えるのもいいでしょう。少なくとも、べての教師が状況を知り、早急に学校全体で取り組むことが、問題解決のために必要です。ただ、学校内の指導だけでは、いじめる3年生が自分たちの行為を振り返り、十二分に反省するよう促すことは難しいかもしれません。 場合によっては、警察に被害届を出すことも必要ではないでしょうか。警察に知らせるのは、まずは自分の子供を守るためですが、実は3年生を守ることにもつながります。学校だけでなく、地域全体で、「いじめを繰り返す彼ら個々の事情を知り、どのような指導や援助を必要としているか」を考えていくことができるからです。
 学校で十分な指導がされず、息子さんが再び被害を受けた場合は、安全を図るために登校を拒否するのも一つの方法と思います。そして、地元の弁護士会に相談してはいかがでしょう。弁護士会は、教育委員会や学校などに、いじめ防止のために徹底した指導、教育が行われるよう勧告を出すなどの対応をとってくれると思います。
 いじめは、子供たちの人権と生命がかかってくる問題です。教師だけでなく、1人でも多くの大人が真剣に対応すべく、働きかけてください。
回答者 ふじさき・いくこ。登校拒否、ひきこもり、非行などの解決のため、家庭を中心にした訪問指導に従事し、子どもの復学時には学校側の受け入れ環境づくりも。著書に「教育改革は改革か」(共著、PHP研究所)など。
24、【相談】テレビゲームに夢中  ◆小学4年の息子は、暇さえあればテレビゲーム。学校から帰ると毎日、友達が来て、夕方6時までしています。人が話をしても上の空、「2時間だけ」と決めても、空いた時間をどう過ごしていいのかわからないらしく、「ゲームがだめならテレビ」という感じで外に遊びにいきません。あまり親があれこれ言うのは良くないと思うのですが、このまま子供の主体性に任せておいていいのでしょうか。  
      ―――福岡県、女性会社員(39)

【回答】  精神科医 和田秀樹  ●以前、米国でハーローという心理学者が、猿の観察から、自発性や知的好奇心に基づく教育を提唱しました。猿でも、知恵の輪をやらせると楽しんで意欲的にやるのですが、できると餌を与えるようにすると、もらえない時には知恵の輪をやらなくなるのです。つまり、学習に賞罰を与えると、自発的な意欲や、やる気を奪うというわけです。
 この考え方に基づいて、米国では1960年代から、勉強をなるべく強制しないようにし、やらないことへの罰を減らすようにしました。自主性を尊重するため、自分のやりたいカリキュラムだけを選択させ、それで単位が足りれば卒業できるようにもしました。
 しかし、80年代になって、学力低下が深刻になり、米国に生まれ育ちながら、まともに英語の読み書きができない若者が人口の2割もいる、という惨状となりました。その結果、米国では教育政策を切り替え、今は小・中学校でも卒業試験を課し、テスト重視、宿題重視のシステムに変わっています。
 この事例から何が分かったかというと、もともと学習動機の高い子供の場合、勉強に賞罰をつけると意欲をそいでしまうかもしれないが、意欲のない子は強制力や賞罰を与えないと勉強などしないということです。米国では、もともと学習意欲が高い子供が予想ほど多くなかったので、深刻な学力低下に至ったというわけです。
 私が文部科学省の自主性重視の路線に反対するのは、このような背景があるからです。この子の場合、思春期の反抗期を迎えるまでまだ多少の時間が残されているようです。「親があれこれ言うのはやめよう」と考えるのではなく、ゲームなら2時間で強制的に取り上げたり、塾に通わせたりして、親がリーダーシップをとって勉強の方向に向かわせ、子にルールの感覚を身に付けさせる方がいいでしょう。
回答者 わだ・ひでき。精神分析学、老年精神医学、集団精神療法学が専門。自らの勉強法を基にした受験技術研究の実績を持ち、学力低下への緊急提言など評論家としての活動も。著書に「親しかできない、子どもを賢くする方法」(共著、小学館)など。
23、 【相談】反抗的になった娘 ◆小学5年の娘は、いとこが有名私立中学校に合格してから、「自分も受験したい」と塾に通い始めました。その週の成績により席順が決まる厳しさで、最近は「いやだいや
だ」と叫びながら勉強しています。勉強することで両親を独占したいとも考えているようです。小3の弟と5歳の妹にも負けていると思っているらしく、反抗的なことを次から次へと言うようになり心配しています。        ―――ある父親(43)

【回答】子ども家庭教育フォーラム代表、千葉明徳短期大学幼児教育科客員教授 富田富士也

●「等身大に生きる」と言いますが、これは年齢を問わず難しいことです。何かのきっかけで自分に自信をなくすと、どうしても他人と比較し、自分らしさを失ってしまいます。すると、必要以上に気を張り、負けん気が強くなり、勉強への努力は本来、自分自身との競争であるはずなのに、いつしか他人と競争するために勉強することになってしまいがちです。
 このような他者と比較する視点からばかりだと、敗北者のような感覚に襲われます。成績評価にしても、周囲が「決して低い点数ではない」と言ったところで、何の励ましにもなりません。もはや、本人は成績ではなく人間的に劣っているというコンプレックスにとらわれているからです。
 そのため、自分の欠点を誰かに指摘されるのではないか不安で、高飛車なことなどを言って相手を試すようになり、素直に甘えられなくなります。
 あなたは、娘さんの勉強の裏に隠れた不安な心に気付き始め、戸惑っているのではないですか。まず、娘さんの揺れ動く不安は成績のためだと信じて、愚痴の聞き役になって下さい。それには、あなた自身が自分の不安な心を、弱音として娘さんに漏らしてみることです。そして、「聞いてもらってすっきりした」と言い、次に娘さんの弱音をじっくり聞いてください。そうすれば、娘さんはこの関係に安心し、「独占」は「ほどよい甘え」となるでしょう。
 
回答者 とみた・ふじや。学校・家庭教育を専門に、コミュニケーション不全に悩み、引きこもる若者たちのカウンセラーとして活動。著書に「新・引きこもりからの旅立ち」(ハート出版)など。
22、 【相談】受験用でない英語教育がしたい  ◆私立学校で非常勤講師をしています。受験英語ではない英語の授業に取り組みたいと考えています。そういう学校があるなら願書を出し、話を聞いていただきたいと思っていますが、インターネットでもどのように検索すればよいのかよく分かりません。学校の特色を知るためのサイト、あるいは文献などがあれば教えてください。     ―――東京都、男性非常勤講師(35)

【回答】 教材・授業開発研究所代表 有田和正   ●受験英語は、「読む、書く、聞く、話す」の「読む、書く」に重点を置き、その背景にある文法に力を入れるものだと思います。
 現在、多くの学校では、「聞く、話す」に力を入れ、英語でコミュニケーションができる力をつけるようにしています。つまり、受験英語の壁を壊しつつあるのが現状です。
 このため、市町村などでネイティブな英語を話せる人を外国語指導助手(ALT)として雇用し、各学校を巡回して指導に当たっています。中学だけでなく、小学校で指導させている市町村もあります。今、英語教育の在り方は、大きく変化しつつあります。
 ところで、昨今は、大学院卒業後も就職先がないなど高学歴者の就職も困難な状況ですから、個人の話を聞き、雇用しようという学校はないでしょう。学校も人を減らし始めています。
 公立学校の教員になるには、都道府県や政令指定都市の教育委員会が行う教員採用試験を受験し、合格しなければなりません。この試験の合格率が、教育学部の卒業生でも2割を切っており、講師の口があればいい方です。採用試験も難しく、知力、学習指導力などだけでなく、人間性やどんな体験活動をしてきたかなど、幅広く人物を見て合格者を決めているようです。
 ですから、教員になるには大変な時代です。このことを認識して下さい。なお、私立学校の生徒募集用の「学校案内」に、各学校の特色が少し書かれているのでこれを購入するといいでしょう。また、私立大学の教員募集情報は、インターネットで出ているので、探してみて下さい。

回答者 ありた・かずまさ。福岡県内の公立小、筑波大付属小の教諭、愛知教育大教授を経て、1988年4月から月間「教材開発」編集長、99年4月から現職。専門は総合的学習、授業論、社会・生活科教育。著作集に「追究の鬼を育てる」(明治図書)。
21、 【相談】2才児の指導方法 ◆4月から保育園で2歳児クラスを担任していますが、わがままで自己主張の強い2歳9か月の女の子に困っています。好きなことをしている時は機嫌よく、友達とも仲良くしていますが、それを止められたりすると、手足をバタバタさせて暴れ、私をたたきます。だんだんひどくなってくるようで、複数担任の4人とも困っています。家庭での様子を聞くと、毛布とおしゃぶりを離さず、親の言うことは聞かないらしいです。言葉の多い子で、言うことの理解力は高い方だと思うのですが、どう接したらいいでしょうか。     ―――和歌山県、保育士(25)

【回答】 つくばこどもと教育相談センター相談員 福島敬三   ●この子をもっと深く理解する努力が必要です。家庭での様子を聞くのも大切ですが、この子が現在まで、どのように育てられてきたかを具体的に両親から聞いてください。例えば、離乳食は母親の手作りだったか、今でも抱っこをして寝ているかなどです。そうすると、ある程度、対処方法が分かります。
 今回の相談内容をもとに一般的に言うと、この子は両親の愛に飢えているように思われます。その飢餓感が、わがままな言動をさせているのです。毛布とおしゃぶりを離すことができないのも、それが原因です。
 さて、保育者としては4人の担任がそれぞれ持ち味を発揮して、この子にかかわってください。例えば、音楽が得意な方は、この子を落ち着かせるために抱きしめる時、童謡を歌ってみて下さい。また、早口言葉や小林一茶の俳句などを声に出して呼びかけたりしてみて下さい。
 そのほかにも、いろいろと工夫できると思います。問題のある子供に、興味を持たせるものを準備してかかわることが大切です。俳句などの場合は、意味にとらわれず、声に出してその言葉のリズムに親しませる感じで接してみて下さい。3か月ほど、この子を思い、いろいろと働きかけていけば、きっと何らかの変化があると思います。 

回答者 ふくしま・けいぞう。茨城県内の小学校、中学校教諭、小学校長などを経て、同センターの相談員に。国語教育、授業開発が専門。著書に「子どもが育つ教師が育つ―つくば市小田小学校の実践」(一莖書房)など。

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