教育新聞ニュースC
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80【相談】幼稚園入園の不安 ◆娘は新学期から幼稚園に入ります。いつも元気ですが、友達とけんかになると泣き虫で、母親と長時間離れて過ごしたこともありません。入園する予定の幼稚園は無理に母親と引き離さず、子どものそばに付いていてもいいそうです。どうすれば早く幼稚園生活に慣れさせることができるでしょうか。       ―――東京都、主婦(29)
【回答】恵泉女学園大教授 大日向雅美 ●子どもが母親と離れて果たして何時間も過ごせるだろうか、また、甘えっ子で集団生活になじめるだろうか。入園を間近にすると、どの親も悩むものです。まだ母子分離ができなくて当然の年齢ですから、親が不安を抱くのはもっともです。
 幼稚園の先生は保育の専門職ですから、入園後の子どもの受け入れ方法はよく分かっています。一般的には先生に任せて良いと思います。ただ、子どもによっては生活の変化に慣れるまでに時間がかかることもあります。親の付き添いを認めているということですから、しばらく付き添ってあげるのもよいと思います。お母さんが一緒という安心感が生まれると、新しい生活環境に対する不安や恐怖心が弱まって、幼稚園生活に早く溶け込めることでしょう。付き添うことで親の心配が解消すれば、母親の安心感が伝わり、子どもも心理的に安定します。
 母親はしばらく様子を見ながら、ころ合いを見て途中で帰るようになっていくと思います。その際は先生に告げるとともに、隠れて帰るようなことをせず、子どもによく言い聞かせてからにしてください。黙って帰ると、いつ母親の姿が見えなくなってしまうのかと、そればかり気にして、幼稚園で過ごす時間に一層不安を持ちかねません。子どもが遊びに集中し始めたら帰ることです
79【相談】シールを持ち帰った児童 ◆担任している小2のクラスでは、ドリルに取り組んだ印としてシールを張っていますが、1人の児童が無断で私の引き出しからシールを持ち帰ってしまいました。お母さんからの連絡で初めて知り、話を聞いたら「先生のまねをしたかった」とのこと。その場でもうしないと約束させましたが、その子への不信感が消えません。    ―――茨城県、小学校教諭、女性
【回答】
埼玉県退職校長会幹事 清水章夫  ●その子はどんな気持ちで、先生の机の引き出しからシールを持ち帰ったのでしょう。そのことをまず探ってみることが大切ですね。
 子供はシール張りが大好きです。本当に先生のまねがしたかっただけかも知れません。また、早く張り終えたいから、親が喜ぶから、他人より多く張りたいから、などという自己主張の現れだったかも知れません。なぜそのようなことをしてはいけないか、子供自身が本当に分かるように導くことが肝要です。
 子供はまだ未完成な人間です。小学校低学年くらいの年齢では、罪の意識なしにしてしまうことがあるものです。ですから、大人がやったことは許せなくても、子供がやったことは許せる心がなければなりません。そうした子供に善悪の判断を教えていくことが学校の仕事であり、学級担任の役割なのです。
 その子への不信感で悩んでいるのは、未完成の人間を完成させようという心より、子供を一人前の大人として見てしまっている点が多いからではないでしょうか。こうした指導は時には厳しく、繰り返し分からせていくことが必要なのです。
 また、指導の仕方についてですが、シールをなぜ張るのかという意図をはっきり教えていたか、考えてみましょう。子供の好きなシールを単に意欲を喚起する一つの方法として使っているだけでは、その意図は伝わりません。シールを張るのは子供が努力した証しとしての「頑張り賞」であり、子供自身も本当によく頑張ったと実感できて初めてシールを張ってもらえたことに価値がある、と分かっていたでしょうか。
 うそで褒めてもらうのでは価値がないことを教え、教師がシールを張ってあげる本当の狙いを子供たちによく伝えておくことが大切です。
78【相談】忘れ物が多い息子 ◆小学1年の息子は、想像力が豊かで感受性が強いのですが、忘れ物が多くて困ります。いろいろな物に目移りし、すぐに忘れてしまうようです。授業にも集中できないらしく、本人に聞くと「授業がつまらないし、遊ぶ方が楽しい」と言います。ついしかってしまい、本人もその時は反省するのですが。    ―――埼玉県、主婦(40)

【回答】NPO法人「子どもの研究所」相談員 福島敬三 ●素晴らしい資質の子だと思います。「いろいろな物に目移り」するのはマイナス面ばかりでなく、旺盛な好奇心があるからです。想像力が豊かで感受性が強いのも優れた資質です。このように長短混ぜ合わせた存在が子どもであり、教育基本法にも「教育は、人格の完成をめざし」とあるように、今から人間形成が始まるのです。
 その一方で、忘れ物が多く、授業に集中できないという状態を見ると、心身が不安定で、母親の愛をもっと求めているのではないでしょうか。お母さんは、この子のあるがままの現実をそのまま受容し、抱きしめて下さい。ここからすべてが始まります。忘れ物なども、できるだけ注意せず、ひたすら母としての愛を注いで下さい。
 具体的には次のような努力をすることです。毎日の抱っこや一緒の入浴。美しいものに共に触れる。寝る時に日本の昔話などを読んで聞かせたり、童歌を一緒に歌うのもいいかもしれません。
 東洋医学の栄養学には「身土不二(しんとふじ)」という原則があります。「体」と「土」は一体である、という意味です。これに従い、食事は既製のものを買うのではなく、自分の住む土地で採れる季節の原材料を入手し、手料理を心がけて下さい。子どもは単に栄養物を摂取するのではなく、母の愛そのものを取り入れる、感受性の塊なのです。3か月ほど続けられると、確実な変化が現れるでしょう。
 このように子どもが母親にべったりと寄り添うのは、小学3年生くらいまでです。その後離れ始め、やがて自立していきます。
77【相談】野球少年団を辞めたがる小5 ◆小学5年の長男は一人っ子。母子家庭で目が届かない不安と、自分本位の性格を集団行動で直させたいという願いから、小3から野球少年団に入部させました。しかし、最近は「もう辞めたい。コーチが嫌だ」と繰り返します。逃げ出さずに立ち向かっていく姿勢を覚えさせたいのですが、どうすればいいでしょうか。       ―――北海道、主婦

【回答】月刊教育誌「ニコラ」編集発行人 馬場章 ●母一人、子一人の家庭で懸命に働きながら、お子さんを真っすぐに育てていこうとする気持ちが強く伝わってきます。
 「集団行動での規律を重んじるスポーツで心身を鍛えさせたい」というお母さんの願いが、決して間違っているとは思いません。お子さんが2年間頑張ってきたのも素晴らしいことです。多少つらいことがあっても続けられたのは、その努力を認めて励ましてくれる周囲の方々や、お母さんに応えようとする子供の強い思いがあったからではないでしょうか。
 しかし、「コーチが嫌」と言い出したのは、それだけではない問題が起きてきたということだと思います。お母さんはどれだけ把握しているでしょうか。例えば、そのコーチ陣がどういう方々で、どんな指導をしているのか、自分で見たことはありますか。
 忙しいとは思いますが、練習風景を一度自分の目で見て、日ごろお世話になっているコーチや部員の子供たちにねぎらいと感謝の言葉を伝え、同時に子供の普段の様子をそれとなくお聞きになってはどうでしょうか。その後、どうしてやめたいのか、やめてどうしたいのかなど、お子さんとゆっくり話し合ってはどうでしょうか。
 その際、お母さんの考えを伝えることも大事ですが、何よりも子供の思いを尊重して広い気持ちで受け止め、お互いに納得のいく結論を出すことが大切だと思います。「立ち向かっていく」という姿勢は、認められているという実感があればこそ出てくるものです。
76【相談】ルールを守らない小1 ◆小1の長男は幼いころから自我が強く、社会のルールに対して完全に反抗しているように見えます。ルールといっても、「返事をする」「うそをつかない」「友達に迷惑をかけない」など簡単なものばかり。しかし、それを破ってしかられても全く反省せず、鉛筆や服を口に入れてかんだり、床にあおむけになって大泣きしたりします。    ―――兵庫県、会社員、女性(33)

【回答】恵泉女学園大教授 大日向雅美 ●子どもと一言で言っても、育てやすい子がいる一方で、扱いに苦慮する子もいます。親の養育態度に原因がある場合や親子の相性が合わない場合、子ども自身の気質に問題がある場合など、原因もさまざまです。
 小さいころから自我の強い子だったということですから、育てるのに苦労されたと想像しますし、それだけ厳しく接する機会も少なくなかったことでしょう。それが悪循環になって、子どもの態度をかたくなにしているのかも知れません。ストレスもだいぶたまっているようです。子どもの心の相談をしている心療内科などの専門機関に一度、診てもらってはどうでしょうか。
 同時に親としての態度も振り返ってみましょう。ルールを守らせることに熱心になっておられるようです。ルールは社会生活の基本ですから、確かに大切にしたいものです。しかし、ルールを守る心は大人から強制されて身につけるのではなく、むしろ相互尊重の心から発するものでなければなりません。そのためにも、まずは自分の立場や相手の気持ちを考える力が不可欠です。
 思考力が十分に発達していない乳幼児期は、大人がルールを教える必要がありますが、小学1年生くらいになれば徐々に考える力をはぐくむ時期に入ります。一方的にしかるのではなく、「なぜしてはいけないのか」「なぜする必要があるのか」を一緒に考えていく時間を持つことが大切です。子どもとゆっくり向き合って話し合う態度を親が見せることも、相互尊重のあり方を示すことになるでしょう。
75【相談】障害児学級の指導に疑問 ◆小3の娘が通う障害児学級の担任の指導に疑問があります。子供が教室から飛び出してしまっても呼び戻さなかったり、必要以上に重圧感を与えて言葉で傷つけたり。障害児教育にかかわって二十数年になるらしいですが、「子供のことを理解しきれていない」と自ら認め、子どもの学校での様子を聞いても納得できる答えが返ってきません。PTAも当てにならず、校長や市教委にも改善を求めていますが、毎日のように問題が起き、娘は不登校寸前です。       ―――千葉県、主婦(33)

【回答】教育評論家 尾木直樹 ●具体的なことがあまり書かれていないのでアドバイスしづらいのですが、娘さんの担任が「指導力不足」の教員で、要求しても一向に改善されない悩みと察します。 子供が心に傷を負い、不登校寸前の状況では焦るのも当然です。ましてやハンディキャップを負った子供たちですから、本当に一日一日が大切です。
 現段階で考えられることは、学校や市教委が動かない、PTAが当てにできない、キャリア二十数年の教師とは思えない、など不可解で憤りを感じる点について、一体なぜなのか、どうしてなのかをもう少し丁寧にはっきりさせることではないでしょうか。
 担任のことで言えば、20年以上ものキャリアがありながら、子供を理解できないのはなぜでしょうか。これまでも前任校などで同じような問題を起こしていたのかを把握すべきです。理解を促すためにはどうした方がよいのか、担任と率直に話し合うのも一つです。具体的事実を積み上げながら校長や市教委に支援・改善を求めていくと、「事
実」を共有しながら改善策を考えることができます。もし、合意した事項に改善が見られない時には、事実がはっきりしているわけですから、PTAの理解も得られることでしょう。
 以前と違って、今日では教育界も全体としては保護者の意見を尊重し、教員の指導力向上にずいぶん神経を注ぐよう変化しています。
 ですから、ここは逆にじっくり腰をすえてはいかがでしょう。ほかの保護者との共同歩調の輪も大きくすることです。その中に担任、校長、市教委を取り込みながら、中心には子供の「成長」を据え、一つ一つ具体的な改善を目指して力を合わせてみましょう。困難であっても、大人の前進的な姿に子供たちは安心し、心が安らぐのではないでしょうか。
74【相談】いじめをやめさせるには ◆友人関係は男子より女子の方が複雑だと思います。私のグループでも、自己中心的な友達にほかの子が何も言わずに従い、部活やクラスの仲が壊れそうになることがあります。誰だって無視されるのは嫌なのに、「あの子はつまらないから相手にするのはやめよう」といじめたりします。自分が目をつけられそうで、注意もなかなかできません。どうすれば誰も傷つかないように解決できますか。       ―――埼玉県、中学1年、女子(13)

【回答】つくば子どもと教育相談センター代表 志賀伸三郎 ●思春期になると、自分自身を受け入れ、共に悩んでくれる人が無性にほしくなります。それが友人です。親や教師に相談できない悩みを抱えているからこそ、友人の役割は大きく膨らむのです。
 あなたが指摘するように、女子は男子に比べて友人関係の悩みが多いことが、調査で明らかになっています。友人関係のトラブルと対処法にも男女差があります。例えば、「友達にされたこと」を調べると、「嫌なことを言われた・された」に男女差はありませんが、「無視された」「仲間外れにされた」は女子が圧倒的に多いようです。
 男子が行動的、攻撃的なのに対し、女子は依存的で感情的、「緊密でいたい」という傾向があります。それは、相手との考えや感情を共有したい、という欲求が強いということです。どこへ行くにも一緒に行動することが多くなります。しかし、そのグループ内で起きるのは「同調と排除」です。
 特にグループの中心になっている人が親に愛されていない時などは、うっぷんをグループ内で晴らそうと、誰かを標的にして仲間外れにします。こんな時、自分の考えや願いを主張し、相手に伝える手法を身につけることは、とても大事なことです。
 どうか勇気を持って、次のようなことを言ってみて下さい。
 (1)その話はもう一度考えてみたいから、今は返事できない。
 (2)あなたの言うことは分からない。もう一度考えてみて。
 (3)どうして無視するの。ちゃんとその理由を言ってよ。
 (4)あなたのこういうこところが好き。でもこんなことはいただけない。
 (5)あなたとこんな遊びや活動をしてみたい。
 などです。できればグループ内の友人や親、教師の力も借り、誠実に相手に伝えることが大切でしょう。
73【相談】金にだらしない大学生 ◆有名私立大4年の一人息子は金銭にだらしなく、困っています。アルバイトもろくにせず、学費や、幹部を務める音楽関係の部の合宿費などすべて親頼み。渡した部の積立金を納入せずに使ったり、財布から現金を抜き取ったり。卒業前の海外演奏旅行の費用も貸しました。就職活動も「どこで働いていいのか分からない」と、働く気があるのかどうかさえ分かりません。       ―――埼玉県、主婦(51)

【回答】大阪学院大流通科学部助教授 加茂英司 ●有名大学への入学、部の幹部、海外での演奏。世間の人がうらやましがる息子さんではないですか。好きなことも見つけられず、授業そっちのけでアルバイトに明け暮れる学生が多い中、息子さんを自慢に考えてはどうですか。
 就職に関しても、息子さんの行動は現代の学生の平均的な姿です。どこで働いていいか分からない、やる気が見られない。私が担当するゼミの学生は毎年20名ほどいますが、半数近くは就職活動らしき活動をせず、結局フリーターになって出て行きます。ほかの大学やゼミでも似たような状況です。息子さんに一番影響を与えるのは部の友達ですが、友達が似たような状況なのでこれでいいと思っているのでしょう。
 しかし、自分の息子となると話は違ってきますね。履歴書に空白期間ができると将来的に良くないので、「今は妥協してでもちゃんとした会社に就職し、気に入らなければ転職すればよい」とアドバイスし続けてください。部への未払いの件や親の財布からの抜き取りを考えると、金銭感覚がルーズなことは確かですが、社会人になれば環境や友達が変わり、次第にしっかりしてくると思います。それまでじっくり見守ってもいいのではないですか。
 そして、金銭感覚がルーズなのは、相談者であるお母さんにも責任があるように感じます。部活動にしても、すべて親の丸抱えというのは行き過ぎです。アルバイトを主にし、親からの援助で補うのが普通で、できない部分は「あきらめて悔しい思いをする」という経験も必要なのです。それでこそ働いて金を稼ぐ大切さを知ることができ、働こうという意欲も生まれてきます。 これからは厳しく接することで、その変化を促してください。
72【相談】いじめられる小6の息子 ◆体が大きい小6の長男は「ノー」と言えない性格。うまく友達と遊べず、のけ者にされています。学校でもいじめられているらしいのですが、先生からは「仲良くしている時もあり、息子の気持ちがよく分からない」と言われます。家に遊びに来た友達にいじめられる時は「お母さんから怒って」と言われるのですが、口出しはよくないと思います。学力が低く、覚えることも苦手。話し下手でもあります。そのためにばかにされるのかも知れません。       ―――石川県、主婦(50)

【回答】つくば子どもと教育相談センター代表 志賀伸三郎 ●いじめ、けんか、反抗の三つは、子供が育つ時に必ず出合う課題です。反抗(期)とは、「ノー」を通して自分の要求や願いを親や周りの大人にぶつけ、自分がそこに存在することを確認し、自分の世界を広げていこうとする成長の一過程です。
 お子さんは「ノー」と言いたくても言えなかったのか、言わなくてもいい環境で育てられたのか、それとも「ノー」と言うと駄目な子として見られ、見捨てられると思って言えなかったのか。どうだったのでしょうか。
 文面に「学力が低く、覚えることが苦手だからばかにされたのでは」とありますが、それよりも、意地悪されたり、からかわれたりしても「ノー」と言わずに耐え、時には苦笑いをしている姿を見て、級友たちは彼を標的にしたのではないかと思います。担任もその様子を見ていて、「彼の深刻さが伝わってこない」と連絡してきたのではないでしょうか。
 本人は怒りをぶつけたいが、友人関係が壊れてしまうのが心配で言えないのかも知れません。できれば先生や親に友達をしかって欲しいのでしょうが、そこに彼の苦悩があるように思います。
 もうすぐ中学生です。彼自身が自分の怒りや思いを相手に遠慮なくぶつけていくのは、これからの人生にとって大切なことです。それは様々な失敗や試行錯誤を経て獲得するものであり、「自分が自分であって大丈夫」という自己肯定感を自分の財産にしていく努力を、側面から親や教師がサポートすることはとても大事です。
 そのためには、お子さんの話に真剣に耳を傾けること、先回りしないこと、しみじみとした時間と空間を共有し、彼との生活の中で感動を「共感」することなど、生きていくことの素晴らしさを息子さんと味わってはいかがでしょうか。
71【相談】中国語で育てている長男 ◆小2の長男は、4歳の時に中国の幼稚園に行き、家庭でも中国語。日本語は片言しか話せません。父は日本人、母親の私は中国人です。小学校では年中遊んでいるような感じです。丁寧に教えてもらえるとついて行けるのですが、学校は何の対策も講じてくれません。今はほとんど学校に行かず、算数と国語に重点を置いて家庭で勉強を教えています。       ―――埼玉県、主婦(32)

【回答】子ども家庭教育フォーラム代表、千葉明徳短期大学幼児教育科客員教授 富田富士也 ●お母さんもお子さんも、安心して中国語でおしゃべりできる家庭が一番居心地がいいのでしょうね。つきっきりで勉強を教えていれば、お母さんも疲れるし、子供自身も息が詰まりそうになるのではないでしょうか。二人きりで机に向かって勉強していると、きちんと理解したか、分からないところはないか、と結果ばかり気になってしまいませんか。
 もちろん、集中して勉強することは大切ですが、人間関係の下地作りとなる児童期にもっと必要なのは、同世代の仲間とコミュニケーションする力を身につけることです。友達を好きになったり嫌いになったり、逆に好かれたり嫌われたりすることで、自分にふさわしい人間関係作りを体感していくのです。それを親や周りの大人が担ってしまうと、生活の中で覚えていく言葉や知恵を獲得できるチャンスを逃す可能性があります。
 学校にいる時は「年中遊んでいる」子だったようなので、学校生活は気に入っていたようですね。学校への要望が実現せず、「もう学校なんか相手にしないで親子で頑張るぞ」となったのかも知れませんが、腹が立つとどうしても独りよがりになり、意地を張ってしまいがちです。子供のためにと思いながら、それが親自身の筋を通そうとするためだったりするものです。
 人は差異を知って差異を認め、その生活を受け入れます。そして、生きた生活の言葉を自然に身につけていくものです。
 子供の笑顔を消さないためにも、ここは担任に「日本語を覚えることも大切ですが、日本人として日本の生活をエンジョイできる子になってほしいので、先生も中国人の私たちをもっと知って下さい」と伝え、コミュニケーションを図るようにしてみればいかがしょうか。
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【70】遊び歩く中3の息子 ◆中学3年の息子は野球部で投手でしたが、最後の大会で思うような結果が出ず、「もう野球はやらない」と言って遊びだしました。高校はこの辺りの「最低校」に行くつもりらしいです。私たちは「この子は野球しかない」と思っているのですが、今はほとんど学校に行かずに友人の家を泊まり歩き、土曜日は暴走族の集会に行っているようです。       ―――茨城県、主婦(45)

【回答】札幌自由が丘学園代表 亀貝一義 ●まとまったコメントをするのは難しい問題です。試しに私の学園にいる高校生十数名に意見を聞いたところ、意外なほど真剣に答えてくれました。子供の立場からも自分の問題につながるテーマのようです。以下は生徒と共に考えたコメントです。
 まず、「子供がこうなってほしい」という願いは見えるのですが、親であるあなたの本当の気持ちは何なのだろうか。それが気になるというのが子供たちの感想です。その最たるものは「この辺りの『最低校』に行くつもり」という記述です。仮に息子さんが行く高校が地域で「最低」と評価されていても、親がそれを決して言ってはいけません。どんなに評価が低くても、大切なのは子供がどれだけ生き生きとできるかということです。
 次に、息子さんに対する態度でいえば、「今、親がガタガタ言ってもむしろ逆効果」というのが生徒たちの意見です。しばらくは見守る、黙っている、突き放す、といった態度をとる方がいいと言います。そして、子供が寄ってきた時、場合によっては厳然と対処することも大切だと思います。暴走族のメンバーになったのも、人との触れ合いを
求めたと考えるなら、子供への評価が変わりませんか。 野球について。私たちの学園にも中学校時代、多くから期待された元エースがいます。息子さんと同じく「限界」を知り、野球推薦で入った高校を捨てました。中学・高校時代のスポーツとは大体そんなものです。
 いろいろ紆余(うよ)曲折しながら、子供は自分の適性を認識していくものです。最近の言葉で言えば「自分探し」の時間です。このことを保障してあげてください。野球をやめたというなら、むしろ「いろいろなことにチャレンジする必要性に気づいたのだね」と褒めたらどうでしょうか。
69【相談】生徒への「出席停止」 ◆中学校の教師になって23年。毎日気を休める余裕もなく、反社会的、非社会的な生徒とかかわっていますが、中には本人といくら話しても全く耳を貸さず、保護者と話しても一向に改善されない生徒がいます。教師に対する反抗、ほかの生徒への悪影響など目に余ります。「出席停止」の措置などを実施していくべきではと思うのですが、どのようなものでしょうか。。      ―――兵庫県、中学校教師、男性(45)
【回答】山田中学生問題研究所代表・日本教育ペンクラブ会長 山田暁生 ●校内暴力、校舎破壊、いじめ、授業妨害、と何でもありの中学校に身を置き、学級担任として一時期は朝7時前に出勤、夜は11時過ぎに退勤といった状況で四苦八苦したことのある私にとって、あなたの相談は痛いほど良く分かります。「反社会的、非社会的な生徒」にしても、私も指導中に殺されそうな場面に遭遇したことがありますから、あなたやほかの先生方の苦悩はいかばかりかと推察できます。「出席停止」の措置以外に、正常で平静な学校に戻す手はないのではないかと思う気持ちも分かるのです。
 学校教育法には、性行不良で、他の児童生徒の教育に妨げのあると認められる場合、市町村教委が「出席停止」を命ずることができるとあります。これは本人を懲戒するという観点からではなく、学校の秩序を維持し、ほかの子供たちの教育を受ける権利を守るという観点の措置である旨の通知がなされています。
 しかし、この措置がとられるケースが全国でも少ないのは、出席停止となると本人の指導要録に記載されて「傷」が付くだけでなく、場合によると人権や本人の学習権の問題として取り上げられかねない恐れがあるからです。そこで、現実には法令にない「自宅学習」「自宅謹慎」といったあいまいな措置をとることが大半です。
 結局、最前線で生徒指導に当たっている学校は、問題の一つひとつに根気よく対処していくしかありません。万策尽きたとあきらめて投げ出すわけにいかず、遅々として改善の進まない生徒にも、保護者にも、粘り強くコミュニケーションを続け、教師みんなであの手この手を尽くしていくしかありません。
 毎日のように問題を起こす生徒を担任した時、私は1年間で60回余り家に足を運び、時には空砲の感もありましたが、対話を続けました。卒業の日、親子に「見捨てられず今日を迎えられた」と涙された時、粘りも無駄ではなかったと思いました。
68【相談】悪態をつく中1の長女 ◆中1の長女は内向的でおとなしい性格。小学校では親しい友達もいなかったようなので、「自分から声をかけないと友達ができないよ」などと助言していました。ところが反抗期でしょうか、特に勉強になると「うるさい、黙れ」と怖い顔つきで反抗します。説教したいのを我慢して勉強をみていますが、悪態をついて素直に受け止めません。中学生にもなれば自分の勉強方法でやらねばいけない、とも思ってしまいますが、放っておけば何もやらないので、ついしかってしまいます。親としてどのように接すればいいのでしょうか。―茨城県、女性(46)

【回答】恵泉女学園大教授 大日向雅美  ●ご心配の様子はよく分かりますが、「子どものため」を思う親心は子どもには伝わりにくいものです。中学生のころはそうした親心をうっとうしく思い、親が熱心になればなるほど親子関係がこじれるケースもあります。この年ごろはいわゆる「反抗期」で、性格が一変したかのように情緒不安定になり、扱いに苦労する家庭が少なくありません。
 しかし、子どもたちは親や周囲を困らせようとしているのではなく、子ども自身が心身ともに不安定になって苦しんでいるのです。自分自身が分からない、自立したい気持ちを芽生えさせる一方で、一人では何もできないという不安が増します。自信を持てない分、周囲の目も気になります。他者の評価が自己評価となる思春期は、成績の優劣や友人関係に想像以上の神経を使っているのです。
 そういう心理状態に置かれている時に、親が成績や友人関係に触れるのは、傷口に塩をすり込むに等しいと言えましょう。しかも、「子どものために心配している」という気持ちが強すぎると、子どもの心が見えなくなってしまいます。思春期は反抗的な態度を取りつつも、心の奥底では親の愛情を求め、親の言動に関心を持っています。干渉し過ぎないことと、子どもとの関係を大切にすることは別です。
 子が親と話をしたくなるようなもの、見習いたいと思えるようなものを親自身が持っていることが、一番大切ではないでしょうか。そして、親も自分自身を振り返ってみると、子どもに対して無理な期待や要求をしていることに気づくことがあるように思います。
67【相談】欠点ばかり目立つ息子 ◆年長の長男は飽きっぽく、遊びにも集中できません。着替えや後片付けも言わないとしません。食事もだらだらとして、時間を決めないときりがありません。工作、絵画、スポーツも苦手で、得意なものが何もありません。一番気になるのは人の輪に入れないことです。仲間外れにされ、あきらめて一人で遊んだり、ほかに遊んでくれそうな子を探したりしているみたいです。    ―――広島県、主婦(36)

【回答】 早稲田大学名誉教授 子安美知子 ●私は30年ほど前に保育園児だった娘の時も、つい4年前まで保育園に通っていた孫の時も、先生から「お宅はおくてですね」と何度言われてきたことでしょう。自分で幼稚園をつくった親しい友人も、孫をたまに預かってくれては、「いや、本当におくて」と、むしろ感心するように言います。
 「ね、おくてでしょう」と私は大事な宝物を見せるように、胸を張って応じます。私はこの「おくて(晩生)」という言葉が大好きです。娘や孫の時、先生が「おくて」をマイナスの意味合いで発言しても、私はわざとプラスの意味に転換して答えたし、「遅すぎて困る」と意見された時は、「これがこの子の持ち味ですから」と言い切りました。
 飽きっぽい? 集中できない? 後片付けがだめ? そんなに早くから我が子の欠点を数え上げていたら、子育てを楽しめないではありませんか。悠然として、マイペースで、きっと自分の夢の世界に遊んでいるんですよ。この世の言葉で説明したり、大人の価値観に覆われた環境ではまだ人間関係を結べない、そんな時期を、お母さん自身の貴重な宝とも思って、内心で自慢していてください。
 学校で落ちこぼれるなんて、そんな心配を今からしないでください。私の孫も公立校に行っていますが、最近の先生たちの価値観にも随分幅ができています。そんなに単純に落ちこぼれなんて決め付けません。
 そして、お母さん。息子さんへの思いを少し引き離して、ほかのことを考えたり、自分のために面白いことをしてみたらいかがでしょう。読書でも英会話でもいいし、カルチャーセンターの時間割から意外なものを探し出してもいいのでは? 子どもを忘れて夢中になる時間を作って、ふと気が付いて我が子をみたら、「あら、私にはこんなに素晴らしい息子がいた!」と運命に感謝する日が来ますよ。
66【相談】保護者への対応 ◆中学2年の男子生徒は、けんかや授業妨害などの問題を起こします。そのたびに保護者に同席してもらって注意し、その場は本人も理解したような態度をとるのですが、しばらくすると別の問題を起こします。保護者も、学校側の指導方法を子供から詳しく聞き出し、「先生の言葉遣いが威圧的で子供が素直になれない」「うちの子供だけが悪いわけではない」という感じで、家庭の協力が得られません。       ―――北海道、中学教員、女性(31)
【回答】教育評論家 尾木直樹 ●まず解決しなければならないのは、男子生徒の問題行動です。まるで幼児が甘えて駄々をこねるように、場当たり的、反社会的な行為を繰り返している点が特徴のようです。
 問題は、なぜ繰り返すのか、教員の説諭が浸透しないのかです。その深層心理は、第一には甘えだと思います。大人の愛情に飢えているのです。家庭で存分に甘えることができない育ちをしてきた結果でしょう。教師はたまったものでありませんが、本人はしかられながらも 先生がかかわってくれるのがうれしいのです。ですから、次々と問題行動を起こしては困らせるのです。
 当面は丁寧にしかったり、なだめたり、認めたりを繰り返していくより仕方ありません。すぐに効果が出なくても焦らないことです。いずれ教師の思いは伝わるものです。ただ、教師の側がバラバラに対応しないことが大切です。指導方法は教員の個性に応じて多様でありながらも、「自立した中学生として成長してほしい」という願いで一致していることをはっきり示すことです。
 第二の問題点は、保護者との信頼関係です。不信感は片方からだけ生まれるものではありません。学校側と同じように、相手側も心のどこかに引っかかりを感じているのでしょう。だからわが子に教員の指導法についていちいち尋ねるのでしょう。しかし、これでは指導効果がないに等しくなってしまいます。そんな大人たちの不協和音も、彼のいらだちの一因になっている可能性があります。その意味でも、一刻も早く保護者との信頼関係を築く必要があります。
 そのためには、保護者の子育ての苦労や悩みを聞き、共感して受けとめることです。先生が自分のつらさを丸ごと受けとめてくれた、全部話を聞いてくれた、先生は味方なんだと実感させることです。そうして初めて、双方向から彼への指導が効果的に立ち上がるのです。
65【相談】授業に集中できない中1男子 ◆私立中1年の長男は、毎日元気に通学し、性格も素直で穏やかです。ただ、授業に集中できず、ノートのまとめがほとんどできません。精神的にもかなり幼く感じます。担任からは、「授業中に寝てしまうことが多い」と度々注意を受けています。小学校時代のテストはこなしていましたが、書くことは不得手でした。手先も器用ではありません。このままでは進級や進学に影響が出るのでは、と心配しています。        ―――東京都、主婦(50)

【回答】医師 土屋守 ●ノートのまとめができなかったり、手先が器用でないといったことが、そんなに心配でしょうか。元気な通学、素直な性格こそが大事です。親が「こうあって欲しい」と願うことが本当に正しく将来性のある子供像に結びつかないことは、精神科医の私が日ごろの診療から痛感しています。
 親が問題として挙げている不完全な点があるからこそ、長男も学校に通うことが必要なのです。本人が一歩一歩、自主的に前進するのを温かく見守ることが、成長期の子供には大切です。成人を「訓練」するような感覚と違って、担任や親は少し指導するだけでよいのです。
 進級や進学に影響が出ることについても、心配は要りません。教育や子育てで大事なのは、親が子供の好ましい点をうんと褒め、望ましくないと判断した点については、子の成長に合わせてゆっくり時間をかけ、辛抱しながら是正に向けて取り組むことです。
64【相談】情報の免許を取るには ◆教員志望の者です。現在、中学と高校の英語の免許を持っているのですが、情報の科目にも興味があります。情報の教員免許はどのような方法で取得できるのでしょうか。また、どのくらい採用枠があるのでしょうか。       ―――兵庫県、海外留学中の女性(24)

【回答】早稲田大教授 下村哲夫
●これは、学習指導要領の改定に伴い、2000年の教育職員免許法の改正で新しく授与されることになった教科の免許状です。高校の新指導要領は2003年度から実施されるため、経過措置として、免許法付則では数学や理科、家庭などの免許状を持っている者に限り、「コンピューター及び情報処理」「情報システム」「情報通信ネットワーク」といった所定の講習を今年3月31日までに修了した者に対し、情報の1種免許状を授与できるとしています。
 英語はこの経過措置の対象となっていません。情報の教員免許状を希望するなら、大学で「教科に関する科目」20単位、「教職に関する科目」4単位を改めて履修するしかありません。
 また、現在のところ採用人数や倍率は分かっていません。これまで数学や理科などの関連科目を受け持っていた教員が、まず担任すると思われます。今後は、大学で情報の教員免許のためのコースが増えることも十分考えられます。
63【相談】ヒステリックな女性教諭 ◆「子育てサポーター」という相談員をしています。母親から相談を受けました。50歳代の女性の担任がしょっちゅうかんしゃくを起こし、子供が怖がって学校に行きたがらないのだそうです。先日も、クラスの女子が誤ってガラスを壊したら、子供をいたわるより先に大声で「落ち着きがないから壊した」とどなりつけたといい、クラスの雰囲気もピリピリしているようです。どうすればいいでしょうか。       ―――山口県、女性(43)
【回答】山田中学生問題研究所代表・日本教育ペンクラブ会長 山田暁生 ●しょっちゅうかんしゃくを起こし、子供をどなりつけるヒステリックな担任。親も子もビクビク、ピリピリ。誰が猫に鈴をつけるかと、子育てサポーターのあなたもお困りの様子。私があなたでしたら、次の手順を踏んで、とにかく勇気を出して担任に伝えたいと思います。
 第一に、その母親に紹介してもらい、クラスの保護者の何人かから担当の様子をより具体的に聞きます。次に、担任をどう受け止めているか、直接子供から聞いて客観情報として把握します。それに基づいて、相談に来た母親とその子に、サポーターとしてどうして欲しいかを聞きます。さらに、母親が担任に今一番求めたいこと(例えば、すぐに怒らずに冷静な態度で静かな聞き方をして欲しいとか)をはっきりさせます。
 こうした段取りをして、「これは管理職にも同席してもらって担任と十分話し合った方がよい」と判断したなら、校長同席で話し合おうと母親に進言してはどうでしょうか。ヒステリックな担任におびえている子供たちを放っておけない、と心配している母親は何人もいるでしょうから、誘い合って出かけてもよいでしょう。 「上からしかってもらうのが手っ取り早い」と、教育委員会へ直訴する手間省きのやり方はかえって話をこじらせます。直接子供と接している担任の姿勢を変えさせるには、本人の心からの反省がなければ訴える意味がありません。そのためには、子供のことを第一に思う対話が不可欠です。
62【相談】中3の家庭内暴力 ◆中学3年の息子が、親の干渉を嫌って祖父母の家から通学を始めて2年半になります。祖父母の家ではしたい放題で、気に入らないと当たり散らし、暴力的です。先生と警察の人の言うことは聞きますが、親の言うことは聞きません。嫌なことがあると逃げ出すのは、甘えているのか、思春期特有の「病気」なのか。苦しく、つらいのなら取り除いてあげたいのです。家を出たのも母子の密着と父親の無関心が原因。相談機関にも行きましたが、何の解決にもならず、無力感でいっぱいです。       ―――神奈川県、会社員、女性(38)

【回答】月刊教育誌「ニコラ」編集発行人 馬場章 ●本人も周りも大変な状況で、しかも限界に近いのではないかと察します。実は、ほぼ同じような相談を受け、解決に導いたことがあります。祖父母の家で暴力を振るい、精神安定剤の服用もしていた中2男子の相談でした。 その時は、まずその子に「自分がつらいからといって他人の家庭を壊す権利はない」と言って諭し、同時に、父親と同居したくないというので、父親にはひとまず近くのアパートに移ってもらいました。そして、親に子を家に連れ戻してもらい、フリースクールで精神的ケアを含めたかかわりを続け、少しずつ家庭関係の修復を図っていくようにしました。今では毎日学校に通うようになっています。
 まじめすぎるほど「良い子」が、こういうことを起こすケースがよくあります。親や先生の期待に沿うように頑張ってきたことが、結果として自分を抑圧するような生き方となり、それに耐えられなくなって暴発するのです。家裁の事例でも増える傾向にあるらしく、自殺に至るケースさえあります。
 相談で気になったことがあります。相談機関や先生、警察に頼り、何とかしようとしてきたようですが、親が子とどう向き合ってきたのかが見えないのです。「母子の密着と父親の無関心」を原因として挙げていますが、そうであればなおさら、そこを変えずに息子さんだけ変えようとしても解決には至らないと思います。
 もし、本気で息子さんの苦しみやつらさを取り除きたいと思っているなら、学校や世間の価値で評価せず、親としての気持ちをじかにぶつけ、真剣勝負で向き合う。そこまで性根をすえた覚悟が必要だと思います。借り物ではない親の姿を見せることで、初めて息子さんの心は開くと思います。
61【相談】娘をどう育てれば ◆中2の娘は小学校から私立でしたが、勉強についていけず、寄り道したり、うそをついたりするようになりました。思春期の大切な時期に教えたいことがたくさんあるし、ほかにも幸せな道があると思い、転校させて公立に通わせたのですが、なじめないと言って週に何日も休みます。毎朝、言って聞かせますが、受け付けません。いじめがある訳でもなく、先生も応援してくれます。楽しくゆっくりと子育てをしたいと願っていたのに、こんなことが待っていようとは思いませんでした。      ―――女性

【回答】 札幌自由が丘学園代表 亀貝一義 ●子供が不登校に陥ると、親は自分の子育てを後悔し、反省するといった「マイナス思考」にとらわれます。私は、これからが大切だし、後悔してどういうプラスがあるのですか、といつも指摘しています。
 ただ、あなたの態度には気になることがあります。「勉強だけ」でなく、もっと重要なことを学んで欲しくて転校させたのでしたよね。その優先順序を娘さんときちんと確認したのでしょうか。私が気になるのは、案外お母さんだけの判断ではなかったかということです。
 子供の生き方に、親が一定の方向づけの責任を持つことはいうまでもありません。と同時に、子供の生き方それ自体は独立したもの(青春期は親離れの時期ですから)ですし、判断を尊重しなければいけません。子育てでは、常にこうした矛盾する行動を余儀なくされます。
 今の学校とも相性が悪いなら、分かる範囲で理由を聞き、解決に力を注ぐことが必要です。先生と折り合いが悪いとか、学校の雰囲気がなじめないとか、客観的に指摘できる問題があるかも知れません。「なじめない」という気持ちが変わらないなら再転校もあり得ます。公立校の場合、市町村の教育委員会は転校を認めるはずです。
 しかし、事情がはっきりしない場合は、子供さんの気持ちを大切にする立場から、様子を見る時間が必要だと思います。「楽しく」はないでしょうが、「ゆっくり子育てをする」ことに開き直ってみませんか。親が元気になることは、どのような場合にも大切です。「不登校を考える親の会」などを見つけ、同じような問題に直面している親と話し合うことが、元気になるきっかけだといわれています。


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