教育新聞ニュースE
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bP01 授業中に寝てしまう生徒

【相談】 ◆授業になると、どうしても寝てしまう中学1年の男子生徒。小学校の高学年から始まったらしく、特に生活習慣が不規則なわけでもないようです。どの教科でも寝てしまうので、授業が原因とは考えられません。保護者は医療機関への受診は前向きではないようですが、どのように受診を勧めるべきでしょうか。――中学校教諭、男性(43)

【回答】 ●睡眠の問題は、眠れないということが注目されやすいですが、実は眠りすぎる、あるいは睡眠のリズムの乱れの問題もあります。
 日中の眠りというと、「概日リズム睡眠障害」をまず検討します。これは、夜に眠り朝に起床する、という睡眠・覚せいのスケジュールと本人のそれが合わないものを指します。学生に多いのは「睡眠相後退型」と呼ばれるもので、眠る時間帯が一日のリズムの中で遅れてしまうものです。体内時計の働きの乱れと考えられています。
 また、突然の抵抗しがたい眠気に襲われるものもあります。「ナルコレプシー」と呼ばれ、激しい疲労感と居眠りが発作的に数分から15分程度続きます。それ以上続くこともあります。目覚めた後は気分がさわやかになります。朝や昼ごろに多く、歩行中でも談話中でも突然起こります。このほか、精神的に不安定な場合やうつ病でも日中の眠気が認められますし、授業が退屈で集中できない、学習内容についていけない時なども、もちろん眠たくなります。
 一般に、家庭とうまく連携が取れないのは、そこに「家庭でのしつけがなっていない、きちんと生活管理させていないと非難されないか」という家族側の不安と、「学校で適切に対応できていないと批判されないか」という学校側の不安があるからではないでしょうか。どちらも子どもの行動に悩んでいるのですが、その行動が互いの責任として追及されていると感じてしまうと、子どものために一緒に考えることは困難になります。
 ですから、医療機関を勧める前に、親御さんに「思春期の子どもには睡眠のリズム障害が認められることが少なくない」という情報をまず伝え、どちらの責任でもないというところから話を始めてみてはいかがでしょうか。
 そして、親御さんの協力を得て「睡眠表」をつけることをお勧めします。これは就床時間と起床時間を記録するもので、1か月くらい毎日続けます。就床・起床時間にズレがないか、曜日によって変わらないか、休日の状況はどうかなどを調べます。そのうえで、睡眠問題に強い子どもの精神科の受診を勧めてはいかがでしょう。
bP02 育児に疲れた2児の母

【相談】 ◆5歳の長男と3歳の長女がいる母親です。夫は単身赴任中で、自分も働いています。長男は最近、好き嫌いが激しくなり、嫌いな物を食べたり保育園でお昼寝したりすることが我慢できなくなりました。長女も1歳半から反抗期が始まり、毎日、「やだやだ」の繰り返し。言い聞かせても聞かないので、つい手が出てしまいます。頑張って育児をしてきたのに目立つことは悪いことばかりで、育児に疲れてきました。   女性

【回答】 ●「育児に疲れた」とのこと。共働きにもかかわらず、育児のすべてがあなたの肩にかかっているのですから理解できます。
 子どもへの対応の前に、まずあなたの心が軽くなることを考えたいですね。その際、夫の存在は重要です。単身赴任では直接的な育児分担は困難でしょう。しかし、あなたの話を聞き、揺れる心を受容することはできるはずです。電話でも良いですから、その趣旨を伝え、率直な思いを聞いてもらいましょう。身近な人が理解してくれると心も落ち着くはずです。話すだけでもすっきりするでしょう。試みて下さい。
 心にゆとりが出れば、わが子への対応、見方もずいぶん変わるはずです。例えば長男の昼寝、食事の問題も、子どもの側に立てれば理解できる面も出てくるはずです。最近では発達や個人差を考慮し、年長児の昼寝をやめたり、給食を子どもの選択に委ねたバイキング形式にしたりする保育園も見られるほどです。
 園でも家庭でも大人の論理ばかりが優先されては、子どもに不満がたまります。その結果、意志をしっかり持つ子ほど反発も多くなります。それが、また「わがまま」などと否定される。この悪循環が、子どもをかたくなにさせるのです。子どもに求める前に、大人側の要求度を見直す必要がありそうです。
 ただ、子どもの言いなりになれ、ということではありません。子どもにとって我慢が必要な場面も必ずあります。そんな時、親として気づかせたいことを言葉でじっくり説明し、理解させることが重要です。また、親の怒りをぶつけるのではなく、「気づいてもらえていないことが悲しい」など、子を思う母としての素直な感情に目を向け、それを伝えることも大切です。大好きな母が悲しむ姿に長男も変化を見せるはずです。妹も兄の変化を見て、次第に落ち着くはずです。
 早めに知識を身につけさせることよりも、心を育てる方がよほど大切です。時間はかかると思いますが、あせらず対応してみて下さい。
bP03 反抗的な子どもたち

【相談】 ◆小5の姉と小3の弟は反抗的で、毎日が親子げんかです。言うことは聞かず、手伝いもしません。姉の方は流行のブランド服が欲しいといった話ばかりで、勉強は全くしません。弟もテレビゲームで休みをだらだら過ごし、何かとへりくつが多くて手がつけられません。我が家は自営業で、私も夫を手伝って家計を助けています。子育てから解放されたと思って少し手を抜き、仕事の方に集中したせいもあるのでしょうか。   ―女性

【回答】 ●「子育てに少し手を抜き」とお気づきのように、この影響による反抗かと思われます。問題は、これまでどう子育てに取り組まれたかです。
 6年前に初孫が生まれた時の私の体験です。初授乳の時、飲み足りて哺乳(ほにゅう)瓶の底に残したところ、脇にいた若い看護婦が「これは基準ですから、全部飲ませてしまって」と言い放ったのです。私は慌てて「孫はこれで飲み足りているのだ」とやめさせました。
 「基準」のために赤子は存在するのではなく、その逆です。育児書の手引きに合わせて育てるのでなく、毎日の赤ちゃんの様子や状態に対応することが大切なのです。基準はあくまで基準であって、乳量もその日の体調などによって異なってくるものです。これを絶対と考えて、「基準」に合わせる育児をしたら、子をつぶしてしまいます。
 もし何かと比べないと不安なら、昨日、1か月前、1年前の我が子と比べることです。我が子にのみ通用する物差しを作ることです。
 一般論的に言うと、反抗やけんかなどは、もっと親の愛を欲しがっているということなのです。表面的な事象に惑わされず、気長に触れ合って下さい。例えばけんかの前に、自身の子どものころの思い出や体験、親の仕事の苦労などを話してみたり、読ませたい本の内容をさりげなく語ったりするようにして下さい。ブランド服の話の時は、家の経済状態をはっきり話すことも必要です。ただし、できるだけ静かな言葉で語ることです。
 これらのことをすぐに100%実行できなくても、51%でも成功すれば、少しは成果が残ります。このくらいの心持ちでお子さんを信頼し、働きかけ、その心と触れ合う努力を重ねてみて下さい。3か月後あたりから、きっと何らかの変化が出てくるはずです。
bP04 盗みをした小6女子

【相談】 ◆ピアノを習っている小学生の女児が、レッスン室に置いておいた発表会費用の封筒を抜き取り、お金を盗んだようです。電話で何気なく聞いてみましたが、認めません。大人の前ではおとなしいのですが、友達には「見つからなければいい」などと漏らすそうです。私もうかつでしたが、盗みを繰り返すのではと心配です。   ―――ピアノ教師

【回答】 ●「初発的非行」と呼ばれている盗みや万引きは、初期の段階に適切な対応や指導に失敗すると、常習犯に移行したり、疑いをかけられただけで人間不信に陥り、自暴自棄になって本格的な非行に移行する危険性があります。
 この問題の対処としては、(1)怒り、軽べつ、偏見、先入観を捨て、共に悩み考えていくという立場に徹する(2)盗んだ事実を正確に把握し、事実関係に伝聞や憶測を入れない(3)あなたの生徒でいることをプラスに考え、レッスンなどを通じて彼女の良さを見つける努力をすることです。
 大人の前ではおとなしく振る舞っている様子ですが、そうしないと親に見捨てられるという怖さがあるのではないかと思います。心理的には不安定で、「何かしないといられない」のだと思うし、盗みや万引きを通して親に「自分がここにいるよ」と訴えているのかも知れません。
 もしそうならば、その子の悩み、苦しみをあなただけで解決しようとしても無理だと思います。学校、家庭、地域(ピアノ教室など)のネットワークを有効に組織し、心を込めてその子の悩みに寄り添う「連係プレー」が求められています。
 まず、学校や担任に事実関係を話し、教育相談の担当者も交えて、その子に何が必要かを話し合うことです。そのネットワーク作りを、あなたが学校に申し出てみてはいかがでしょうか。彼女との話し合いを繰り返し、何でも打ち明けて話せる個人的な信頼関係ができた時に初めて、彼女自らが表裏のある生活から抜け出し、自分の犯した罪を自省するはずです。そして、盗んだことを話してくれるようになるのではないでしょうか
bP05 時間割のない学校

【相談】 ◆私の子どもの通う公立中には時間割がなく、毎日、帰り際に連絡帳に書くまで翌日の予定が分かりません。昨年は、休みがちの先生の授業が他教科に振り替えられ、教科書が終わらなかった科目もありました。教育委員会は「校長の裁量の範囲内」とし、校長は「僕のやり方でいく」と譲りません。生徒のほとんどが塾に通っており、学校の授業はみんな本気で聞いていません。3時ごろに帰ってくる中学生を見て不安になります。       ―――女性

【回答】 ●相談の内容を見てびっくりしました。今どきこんな中学があるなんて信じられません。私はあちこちに出かけていろんな話を耳にしますが、うわさ話でも聞いたことがありません。
 今、日本の教育界は、学力低下をどうするかという「嵐」が吹き荒れています。文部科学省も「学びのすすめ」を出したり、基礎・基本の定着を図るために補充学習をしたり、できる子どものために発展学習をするよう求めています。基礎的なドリルをしっかりやる学校も増えてきました。こんな時代に、しかも公立中学校で時間割がないなんて、到底考えられません。
 時間割がなくては、教科担任制が成り立ちません。公立校は、年間授業時数、各教科の授業時数、それに指導すべき内容が学習指導要領できちんと決められています。今度の指導要領改定で、ほとんどの先生が「時間が足りない」と悩んでいます。それなのに、3時ごろ下校するなんてあり得ないことです。決められた時間通りやっていないということです。教育委員会が認めているということも信じがたいです。
 学習塾は、学校で十分できない子どもが、個人的に補充学習を行ったり、良くできる子がさらに上を目指して発展学習を行ったりするところです。あくまで学校があってこその塾教育です。
 今は保護者の声がとても強い時代ですから、まとまって教育委員会や学校長と交渉すべきです。一人で行っても聞いてくれないでしょうが、団体で交渉すればきっと耳を傾けてくれるはずです。
bP06 同級生を攻撃する発達障害児

【相談】 ◆アスペルガー症候群症状で、知的レベルは通常学級の生徒に近い中学1年の男子。私が担任する知的障害学級で学んでいるのですが、同級生に対して見下すように「〜もできないの?」「背が低い」などの暴言を度々発したり、小突いたりするので、困っています。「相手の立場を考えて」といくら指導しても効果がありません。 中学教諭、男性(50)

【回答】 ●アスペルガー症候群というのは自閉症グループの一つで、医学的検査では異常が見つかりにくい脳の機能障害です。「人付き合いとコミュニケーションがとても苦手」「興味の範囲が狭く深い」「儀式的なこだわりとも思えるほど行動パターンが限定されやすい」という3症状が3歳以前から認められることなどが、診断の基準になります。知的発達には問題がありません。
 この発達障害には孤立型、受動型、積極型があります。ご相談の子どものような積極型は、積極果敢で多動傾向を示し、多弁に持論を展開するため、「自己中心的」な子どもと思われがちで、「自閉的」には見られません。しかし、やりとりが一方的で、集団行動は苦手です。相手の気持ちをくみ取りにくいため、周囲とトラブルを起こしやすいのです。
 こうした子どもには「相手の立場を考えて」というよりも、「相手にどう思われるか」「どう行動した方が自分にとって得か」という指導が効果的です。あくまでも、彼自身を中心にした指導に徹するわけです。
 例えば、「『〜もできないの?』という言い方だと、君は相手をバカにしていると誤解されるよ。嫌なやつと思われてよいのかな」とか、「『よくできたね」と相手を褒めてあげると、先生もみんなも君をいいやつだと思うのではないかな」と伝えることです。「どっちが得かな」と彼自身から答えを引き出すことも有効かも知れません。
 「〜もできないの?」とか「背が低い」といった発言は、彼にとっては「真実」なのです。ただ、それが世の中のルールとして不適切な表現であることは間違いありません。
 その子の言動をすぐに否定したり、却下したりせずに尊重する。そのうえで、もっと良い方法があることを示し、やってみようかなと思わせることです。これには、「この人のいうことを聞くと損しない。認めてもらえると安心する」といった信頼関係が、先生との間にあることが前提になります。「それぞれの人を尊重する姿勢」を先生が率先して示し続けることが重要です。
bP07 遅刻しがちな高1男子

【相談】 ◆担任する高校1年の男子は入学以来、遅刻しなかった日がほとんどありません。母親にも聞いてみましたが、理由が分からないらしく、精神的に参っているようでした。中学の時には部活の部長として朝練に毎日欠かさず参加していたそうです。どうすれば遅刻しないようになるのでしょうか。高校教諭、男性(43)

【回答】 ●「遅刻が常習なのはなぜか」ということが、ご相談の説明だけでは明らかになりません。例えば、起床が遅いのか、普通に起きても家を出発するまでぐずぐずしているのか。起床が遅いのなら、ちゃんと前夜のうちに就寝しているか、ゲームなどに夢中になって夜更かししていないか、あるいは不眠なのか。
 私の診察室では、毎年春から夏にかけての学校や学年が変わる時期、この種の相談が続きます。昼夜逆転で登校不能になった生徒も多くいます。1回の診察に1時間以上もかけ、何度も診察を重ねながら、真実を明らかにしていきます。
 このような私の経験に照らし合わせると、ご相談のケースは「遅刻常習」の原因究明と対策が遅すぎます。一刻も早く精神科を受診して、事態の改善を図って下さい。「遅刻」とだけ解釈していても、うつ状態などの心身の病気だったりする場合も多いからです。今、かなりの国民がうつ状態ともいわれます。不眠ややる気のなさから起床が遅くなったり、家を出るまでぐずぐずしたりすることがあるのです。また、100−120人に1人とされる統合失調症でも同じような症状があります。
 中学の時には元気だったのに、高校生になって遅刻するようになったのは、何らかの大きな変化がお子さんに起きたと考えられます。そうした変化の代表が心身の病気ですし、それが解明できるのは精神科医でしょう。体の異常があれば、とっくに内科や他科の医師に受診しているはずですが、まだならば、先に訪れて異常の有無をチェックしましょう。医師に「異常なし」と確認されたら、一刻も早く精神科医に行って下さい。
bP08 頼りない担任

【相談】 ◆4月から公立小に入学した長男の担任にがっかりしました。今年2年目で初めて学級担任を務める女性ですが、入学式から3日目で休んでしまうなど、とても頼りない感じです。反抗的な子にも押されっぱなし。ほかのクラスの担任はベテランや頼もしい雰囲気の男性で、「外れクジ」を引いた気がします。ほかの先生に代わってもらうことはできないのでしょうか。       ―――東京都、大学職員、男性(34)

【回答】 ●どんな先生が自分の子供の担任になるのか。保護者にとって、これは新学期が始まる4月の最大の関心事です。中でも小学校入学時は、期待と不安が交錯した複雑な心情だろうと思います。これは、今も昔もほとんど変わらないと思います。
 かねてから、「男の先生で良かった」「ベテランの先生で良かった」という言葉を耳にしますが、こうした言葉の中には、かなり偏見が含まれています。例えば教師の力量という点を見る限り、男性・女性の差異は全くないと考えて間違いありません。また、若年教師だから力量が格段に劣るといったようなこともありません。
 最近、よく「学級崩壊」と呼ばれる授業の荒れが話題になります。実は、これがベテラン教師の学級でよく起こっています。しかも、その荒れた学級を新任教師が見事に立て直した話もよく聞きます。確かに、授業の仕方や組み立て方はベテラン教師の方が上手かもしれません。しかし、子どもたちとの人間関係やコミュニケーションでは、若手がむしろベテランを上回るほどの力量を発揮することもよくあります。特に、最近は教員採用人員が激減していることもあり、半端な気持ちで教職に就いた若年教師はほとんどいません。
 保護者から見ると、一人ひとりの教師が一つの学級をすべて支配しているように見えるかもしれません。しかし、実際は教師集団の協力体制の下で多くの教育活動が行われています。担任教師だけが教育を全面的に担当するという訳ではありません。各学年の担任の顔ぶれを見てください。恐らくどこの学校の学年も、ベテランと若手が組み合わさった構成だと思います。若い先生が担任になると不満を表明する保護者がいますが、どこの学校も教師の高齢化が進んでいます。こんな時期に、若い先生の担任は幸運と考えて下さい。
 担任教師に対する不安感を子どもの前で見せてしまうことが最も問題です。これが偏見に基づくものであれば、より一層問題です。安易な教師批判が少なくないのが現実ですが、子どもの教育を一義的に考えるなら、保護者として最も避けるべきことです。
bP09 給食指導が厳しい保育士

【相談】 ◆保育園に通う年少の息子が給食を残すたびに、保育士は一人だけ居残りをさせて食べさせているようです。時には3時のおやつの時間まで残され、その間は保育も受けさせないらしいのです。保育園に行くのを泣いて嫌がる朝が続きましたが、保育士は「一人だけ許すわけにはいかない」とのこと。親としては、昼食の時間だけでなく園の生活そのものも楽しめなくなるのではないか、と気がかりです。       、パート社員、女性(39)

【回答】 ●ご相談を拝見するかぎり、保育士の対応に大きな問題があると思います。食事は楽しく食べる雰囲気作りが何よりも大切だからです。
 食べられる量は個人差が大きいし、小さい時は好き嫌いがあるのも致し方ない面があります。食事の量や嗜好(しこう)は年齢とともに変化することはあっても、強要して治るものでは決してありません。午後の保育に参加させず、独りで給食の前に座らせるという方法は、教育的配慮を超えた懲らしめにほかならないと思います。お子さんが保育園に行くことを嫌がるのは当然でしょう。
  問題は、いかにして保育士に理解して改めてもらうかということです。固い信念を持っているようですし、保育の専門職として自負も強い方と思われます。しかし、子どもが保育園で楽しく過ごせる環境を守ることは、保育士と親の両方の責任です。この一点を確認しながら、毅然とした態度で問題解決にあたる必要があると思います。
 もっとも、保育士が言うように、集団生活を送る上では協調性や規律を守る態度も大切です。一方的なわがままが許されないことも、子どもは覚えていかなくてはなりません。そのことは親としてしっかりと理解し、家庭でも指導していくという姿勢を伝えながら、保育士と根気よく話し合って下さい。話し合いが硬直化するようでしたら、主任や園長先生にも加わってもらうとよいでしょう。
bP10 おねしょが止まらない3歳

【相談】 ◆3歳9か月の二男が1週間前から突然、おねしょをするようになりました。ちょうど3歳になったころにオムツ離れして以来、自分で起きてトイレに行っていました。生活の変化があったわけでもなく、寝る前に必ずトイレに行かせ、直前には水分を取らせないようにしているのですが、止まりません。何かストレスを感じているのでしょうか。   ―――東京都、主婦(39)

【回答】 ●おねしょとの戦いの日々、お母さんの戸惑いと心配がよく分かります。 おねしょ(夜尿)は大きく二つに分けられます。一つは乳児期から続いているもので、夜尿の90%はこのタイプです。「生来型」といいます。もう一つは夜尿がなかった子どもに、ある年齢から始まるもので、「獲得型」と呼びます。
  さて、お子さんの場合はどうでしょうか。8か月間ほとんど夜尿がなかったということですから、獲得型に当たる可能性が高いです。自発的に目を覚ましてトイレに行っていたのなら、朝まで尿を膀胱(ぼうこう)に保持できず、尿意で目を覚ましていたことを意味しています。このような場合、何らかの原因で睡眠が変化すると、尿意があっても目が覚めずに夜尿となってしまうことがあります。ストレスで睡眠が深くなり、夜尿につながった可能性も否定できませんが、思い当たることがないとしたら、せんさくし過ぎない方がよいでしょう。
 そもそも、獲得型の夜尿と断定するのも適切ではないかもしれません。夜尿は4歳以降に始まると定義する専門家もいます。まだ3歳ですから、時に夜尿があるとのは決して珍しくありません。
 たまたま夜尿があって、つい叱ってしまう。寝る前の水分に目を光らせている。トイレに行くことを強く意識している。どれも間違った対応ではありませんが、お子さんはしかられていると感じるかもしれません。それが二次的なストレスになってしまう可能性は否定できないでしょう。夜尿そのものは、優しく後始末してあげましょう。
 この夜尿が1か月以上も続くようでしたら、小児科医や育児相談の専門家に助けを求めましょう。
bP11 集団生活になじめない保育園児

【相談】 ◆3歳半の娘は4月から通い始めた保育園になじめず、ずっと教室の外の廊下で立っているそうです。「集団生活が苦手」と先生に言われました。私がダウン症の弟の世話に時間を取られてしまうこともあり、母親の喪失感が大きいのか、おっぱいを触りたがったり、足にまとわりついたりします。「愛情不足」のサインなのでしょうか。     ―――京都府、女性(37)

【回答】 ●親の立場からすれば、心配する気持ちは十分わかります。ほかの子どもたちはスムーズにいっているのに、どうして我が子だけうまくいかないのだろう。こうした思いは親として当然です。
 そこでお子さんの立場を考えてみましょう。幼児は潜在的にはとても高い能力を持って生まれてきます。しかし、生まれた時は全く無力です。養育する人がいなければ生きていけません。ですから、幼ければ幼いほど、子どもは自分を育ててくれる人との関係に敏感なのです。その人が、身も心も一体となって自分を受け入れてくれれば、子どもは安定した心でいられるのです。
 表面的に子どもを受け入れる表情や態度を作って見せても、そこに子どもを受容する気持ちがなかったら、子どもはすぐに見破ります。心のこもらない優しさのポーズに、幼児はだまされないのです。
 ダウン症のお子さんのことで手がかかるのは十分に分かります。しかし、お子さんがお母さんの身体と触れ合うことを求めているのは、お母さん自身の「弟のことで手いっぱいなのだから、ベタベタするのは卒業してよ」という気持ちを感じているからではないでしょうか。
 お母さんは、上のお子さんには手がかからない子どもになってほしいと願い、その結果、ベタベタするのを無意識に拒否してしまっているのかも知れません。弟が生まれる前と少しも変わらないという気持ちをお子さんに伝えるよう、努力してほしいと思います。
 一方、保育園への適応について考えてみましょう。なかなか慣れないのは、心を寄せ、安心できる大人や友だちが周りにいないからです。お母さんと離れた途端、親しい人のいない世界に無理やり投げ入れられる、と不安に思っているからです。お子さんが保育園に慣れるためには、お母さんと保育士さんが毎日楽しげに話したり、ほかの子どものお母さんと話したりする時間をたっぷり取ってください。大人同士、仲がよいことをお子さんに見せることで、家庭の雰囲気から保育園の雰囲気へとスムーズに移っていけるのです。
 お子さんが集団生活に適応できないと悩む前に、お子さんが安心して保育園にいられるような環境を作る努力が必要だと思います。
bP12 不登校が心配な高1

【相談】 ◆高1の弟が1週間連続で学校を休みました。「毎日の生活に疲れた」という理由らしいです。私が「高校を卒業しないと進路が選べない」「お母さんに心配をかけないように」と説教したのがプレッシャーになったかと思うと気がかりです。しばらく様子を見ようと思いますが、何か手助けをした方がよいのでしょうか。    
 
【回答】 ●あなたが姉として、弟の苦しみに心を痛めている様子がよく分かります。この時期、希望を持って高校に入学したにもかかわらず、学校で学ぶことに疑問を感じ、登校をやめる生徒は決して少なくありません。
 今大切なことは、なぜ弟さんが「毎日の生活に疲れた」と言って苦しんでいるのか、時間をかけて丁寧に聞き取り、自分を取り戻すために何が大事なのかを一緒になって考えることです。そして、彼の苦しみの最大の理解者になることが求められていると思います。
 そのためには、登校できずにいる状態を「挫折」と見るのではなく、自分の学び方、生き方を問い直している素晴らしい弟として見直すことです。そのうえで、通学している高校の情報を集め、どんな状況で登校できないでいるのかを確かめ、母親とともによき理解者になることです。家が心休まる居場所になっていると彼が実感した時、自分の苦しみを直視し、どう立て直すべきかをしっかり模索できると思います。
 残念なことですが、多くの高校が今、大学進学のための受験勉強を優先するところに変わっています。「学びや友人関係を通して成長や自己実現が保障される場」ではなくなりつつあることに危機感を感じ、今後のことに自信を失ってしまったのかも知れません。今まで疑問を感じず、一生懸命に努力した人ほど、その失望は大きいものです。
 今、彼のすべきことは、「なぜ高校で学ぶのか」を改めて考え直し、そこから自分に合ったものを探し求め、少しずつ実行していくことではないでしょうか。そして、その努力を陰ながら応援してあげることが、あなたの見守り方ではないでしょうか。
bP13 自傷行為を繰り返す高校生

【相談】 ◆担任のクラスに手首を切ったり、たばこの火を体に押し付けたりと自傷行為を繰り返す女子生徒がいます。無断早退や服装の乱れを学校で注意するたびに、家に帰って自傷行為をするようです。カウンセリングの受診を親にお願いしても、「本人が嫌がるから」と断られます。特別扱いしたくないのですが、自分の指導のせいで命を落とすようなことがあったらと思うと、恐怖を感じます。
       
【回答】 ●このような大変な生徒に、心の問題の専門家でない教師の方が対応するのは難しいと思います。
 自傷行為といっても、その時点で意識がぼんやりしているようなものもあれば、ある種の快楽を伴うもの、親への腹いせや注目されたいためにやるものなどもあります。多くは自殺にまでエスカレートしないのですが、そうとは言い切れない場合もありますし、そして自傷行為のタイプによって好ましい接し方もあるはずです。
 ですから、親が拒否的だとしても、精神科医や心理のプロとの面接で、この自傷行為がどのような種類のものか判断してもらわないと、どう接すべきか一概に言い切れないのです。
 このケースでは、親も含めて精神科やスクールカウンセラーの受診を避けていることが大きな問題です。これでは、八方ふさがりのような気がするのももっともです。しかし、精神科医療を受けさせるのをあきらめることは得策でないと思います。
 そこで、このようなケースで利用できる組織が児童相談所です。児童相談所は、例えば親が子どもを虐待する場合、親の意思に反しても強制的に引き離すことができるなど、親が子どもの利益に反する行為をした際に、ある程度の強制力を持つ組織です。
 ほかの生徒も受け持っている担任の先生が問題を一人で抱え込むより、児童相談所を利用して解決を図るほうが賢明と思われます。精神科治療が必要と判断されれば、それなりの医療機関がここを通じて紹介されるはずです。治療が必要なく、思春期特有のものという話になれば、あなたもはるかに接しやすくなるでしょう。
 仮に、治療にうまく結びつかなくても、プロである児童相談所のスタッフに相談に乗ってもらえるだけで、あなた自身もかなり気分が楽になるのではないでしょうか?
bP14 とまらない校内暴力

【相談】 ◆中学2年生の14歳の男子が、教師や生徒に暴力を振るいます。先日も教師3人に暴行しました。何でも問題を抱え込み、表沙汰にしないことで有名な学校です。被害届を出さないのは、以前、教師が体罰で男子生徒の姉にけがをさせたことを、親に蒸し返されたくないからのようです。このままでは、まじめに頑張っている生徒がかわいそうです。暴力があれば、すぐ110番でいいと思うのですが。

【回答】 ●あなたの立場はよく分かりませんが、学校の対処方法への内部からの疑問で、問題の生徒の家庭も学校に批判的とのこと。事態の深刻さを感じます。
 小中学校の児童・生徒には出席停止の制度があります。これは、本人に対する懲戒ではなく、秩序を維持し、ほかの子どもの義務教育を受ける権利を保障するために設けられたもので、学校が最大限に努力しても解決しない場合に限ります。また、公立校では自宅謹慎などを命じることは許されていません。いずれも、子どもが義務教育を受ける権利にかかわる措置だからです。このほか、児童福祉法や少年法に基づく対応が考えられます。
 あなたは、学校が警察に被害届を出せば、少年法に基づき家庭裁判所の審判で保護処分となり、少年院送致で学校の手を離れる、それしか問題行動を解決する方法はない、その決断ができない学校では、まじめな生徒がかわいそう――という考えなのですね。
 この少年の暴力行為について、少年院送りが適当との審判が下るかどうかは何とも言えません。ただし、もっと大切なのは、あなたの学校の生徒指導の体制が万全かということです。
 生徒指導は、教職員の共通理解のもとで一致協力して決然と指導に当たることが鉄則です。暴力行為に対する傍観者的な態度や教師間の不統一などは、子どもや保護者の信頼感を著しく損ないます。
 まず自らの姿勢を厳しく内省し、家庭との連携、問題生徒の心の理解を含めて取り組むことが欠かせません。そのうえで、学校だけでの「抱え込み」意識を捨て、警察や関係機関とともに問題解決に当たる姿勢が大切です。「内」を固め、「外」に行動の連携を築く。どうか生徒指導の本質に立ち返り、先頭に立って活躍してください。期待しています。
bP15 いつも重く考えてしまう

【相談】 ◆僕はどんなことも重く考えてしまいます。例えば約束一つ断るにしても、相手の機嫌などが気になります。気持ちを楽にしようと自分でも意識しているのですが、いつも悪い方向に考えてしまいます。これから、もっといろいろな場面があると思うのですが、それを乗り切れるか考えると、不安で仕方ないのです。

【回答】 ●あなたは「重く」考えてしまうと言っていますが、私は「深く」物事を考える人だと思います。何でも軽く受け止め、「いいよ、いいよ」と軽い気持ちで相手と約束し、それを忘れて「えっ、そんなこと約束したっけ?」と言ってのける人も少なからずいます。
 その点、あなたはとても慎重で、踏み出す前にじっくり考える人なんですね。「約束したからには守り通さなくては」という強い責任感があるからこそ、一つ断るにも相手の機嫌まで気になるのでしょう。
 友達と良い関係を保っていこうとすると、断りたくても断れないことがあります。とりわけ友人関係を最優先して大切にしていきたい年ごろです。「もしこれを断って友人関係が壊れたら」と思うあなたの気持ちはよく分かります。でも、出くわす様々な生活場面でそのようにばかり考えていると、一歩も前に進むことができなくなりますね。
 性格的に、こうと思い始めると、なかなか変えられない面があるかも知れません。しかし、「自分がこだわっているほどには、相手もこだわっているわけではない」と、自分の荷物を軽くしてみませんか。
 確かに長い一生の間には、ここで右に進むか左に行くか、取るか取らないかという選択を迫られる事態に出合うことが度々あります。後で考えて、「この選択がベストだった」と思えたり、「あの時こうすれば良かったかも」と悔いることもありますね。予期した通りにいかないのが人生です。大事なのは、選択にあたって真剣に考え、自分に正直に向かい合い、「こうするのがベターだ」と思ったら、もう迷わないことです。そして、悪い方向に向かっているなと思ったら、いち早く修正する努力をするのです。
 「全力投球すれば、きっと自分を良い方向へ導いてくれる」と信じて頑張ってみましょうよ。
bP16 納得できぬ学校の対応

【相談】 ◆小学4年の息子は体格が大きくて動作も言葉も遅いため、よくいじめられます。度重なる中傷に傷つき、おう吐や体のけいれんなどの変調が現れ、しばしば感情を爆発させるようにもなりました。学校の備品を壊したり、友達にけがをさせたこともあります。校長からは息子の「異常行動」を指摘され、ストレスが原因と言われましたが、結果ばかりを重視する学校側の対応に納得できません。

【回答】 ●いじめは、根底からその子の安心と自由を奪い取る行為です。そして、長い歳月にわたって「心の傷」として残るものです。だからこそ、その子を取り巻く多くの子どもたちや親や教師を含めた大人の力を結集して、解決して行くべきものだと思います。まして、けがをさせられたり、おう吐、けいれんまで起こしているので、精神的・肉体的にもかなり参っていると判断されます。一刻も早く、この事態を止めさせなければなりません。
 学校は「いじめられている子にも問題がある」という考え方のようですが、まさしくその考え方が深刻な事態を招いているのではないでしょうか。いじめられている息子さんのつらさ、悲しさになぜ学校側や担任が寄り添うことができないのか、それが問題です。学校の備品を壊したり、ほかの子どもをけがさせてしまったとしても、そのような事態になってしまった状況を「異常行動」と見ている学校に対し、危惧(きぐ)を感じます。
 いじめの具体的な対策ですが、まずは家庭を改めて子どもが安心して何でも言える場所にすることです。ゆったりとした雰囲気の中で、いじめの一部始終を聞き取り、どんなことがあっても「お前を守る」ことを話し、息子さんに「かけがえのない存在」であることを実感させる。
 次に、両親は聞き取ったいじめの一部始終をしっかりメモし、学級担任(学校)に問題解決への努力を改めて要請することです。両親と担任の二者間で解決するのではなく、担任には子どもたちの背後にあるストレスや摩擦の実態を把握し、一人ひとりの子に寄り添いながら、何が問題だったのか究明してもらうことです。
 カウンセリングも積極的に活用するべきです。学校や他の父母と協力して、解決のための具体的な方法を専門的な立場からアドバイスしてもらってはいかがですか。対立ではなく、「共感と協同(きょうどう)」を第一として粘り強く取り組むことをお勧めします。
bP17 成績不振の中1

【相談】 ◆一人っ子で中1の長男はまじめで責任感が強く、部活を続けながら週3回、塾に通っています。しかし、中学生になってから成績は下がる一方です。つい「勉強しなさい」と言ってしまい、最近は私をうるさがって、怖い目でにらみつけるようになりました。いま勉強が分からなくなると落ちこぼれになる気がして、もどかしく思います。    

【回答】 ●親は、子どもに対する欲が深いものです。それは、無関心でいられない親の責任感の表れですから、落ち込むことも、否定することもないと思います。
 子どもの方も、羽振りのいい時は親の育て方を褒めませんが、巡り合わせが悪くなると、「お前の育て方が悪い、ほかの親を見習え」と悪態をついたりします。これも、親を交換できるのなら、こんな言い方はしません。
 お互い「逃げられない」のが親子関係ですね。どちらにも悪気はないのです。勝手にあこがれ、勝手に失望しながら、親も子も照れ隠しで自分の無力さを相手に八つ当たりしているだけなのですね。
 子への思いの深さは、時に「押し」の強さにもなります。だから、押しの段階に入る手前で、「子供のためと言いながら、自分の不安を打ち消したくて怒っているんだな」と気づかないと、親の威厳も独りよがりになってしまいます。
 どうせ逃げられない、苦楽を共にする関係なら、どん詰まりの時こそ互いの存在を肯定し、優しく生きたいものです。
 相談の中にある「もどかしさ」は、子の前途がそのまま親の前途に結びつくことへの焦りですね。しかし、「期待しない」という愛情のかけ方もあることを学びたいものです。
 「怖い目でにらみつけ」ているとのことですが、それは押しの強さを知らせるサインです。子にとっては触れてほしくない弱点に、限度を超して触れているということです。その弱点を本人が素直に受け止め、前向きに生きていくためには、それを「弱音」として聞く姿勢が大切です。子が抱える現実はすべて自分自身で背負っていくしかないのですから、親にできることは、弱音を吐いても肯定してあげる関係を築くことです。
 「まじめで責任感の強い」子は、見た目よりも、よほど現実を意識しています。自分の事情をよく知っているのは誰よりも本人です。どうぞ、子どもの話にじっくり耳を傾けてください。
bP18 息子の友達に注意すべきか

【相談】 ◆小学2年の長男の友達で、登下校や遊びを共にしている4年生の男子がいます。先日、その子に傘を粉々に壊されて帰ってきました。ほかにも、男の子が家に遊びに来た時にテレビゲームのソフトがなくなったり、うまくいいくるめて長男の財布からお金をもらったり、不審に思うことが何度かありました。親ではなく直接本人に話したいのですが、大人が入ってもいいでしょうか。
      
【回答】 ●子どものけんかに、大人がむやみに介入することを戒める考え方は昔からあります。子どもにとって遊びとけんかの境界は難しく、いさかいをしたかと思うと仲良く遊ぶ、ということを繰り返しながら、他人との付き合い方を学んでいくものだからです。
 しかし、ご相談の事例は、黙って見守っておく範囲を超えています。傘の壊し方は無惨ですし、息子さんからお金をもらうのも許してはいけないことでしょう。
 ゲームソフトの紛失は、その子が持ち去ったという確かな証拠がないようですから、問題にすることは難しいと思います。しかし、証拠があるならば、傘やお金の問題については、はっきりと注意する必要があります。自分の子どもではなくても、見守り、良くない言動は注意をするのが大人の役目です。決然とした態度で優しく言い聞かせてあげれば、しかってくれる人の真意が分かる年齢でもあります。
 もっとも、最近は子どももストレスに悩んでいて、素直に年長者の言うことを聞けない場合もあります。傘の壊し方から想像して、相当にストレスがたまっているようです。十分に分かるように言い聞かせないと、注意されたうっぷんから、陰で息子さんに嫌がらせをしないとも限りません。
 相手の親に率直に事情を伝え、一緒に解決策を考えることができればよいのですが。登下校の時にできるだけ息子さんの様子に目を配ること、家に遊びに来た時も親の目の届くところで遊ばせる工夫をすること、友だちを選ぶ目を養うよう息子さんに教えていくことが大切だと思います。
bP19 学校をやめたい

【相談】 ◆同級生とうまくいかず、いつも独りぼっちで寂しい思いをしています。勉強も分からなくなりました。声優になるのが夢で、学校をやめて通信制高校の声優コースに行きたいとも思います。でも、担任の先生や親が相談に乗ったり、応援してくれたりしているので、心配させたくないという思いから、なかなか言い出せずにいます。    、高校1年、女子(15)

【回答】 ●夢を実現するために自分を生かせる道を選択することは、とても大切なことです。しかし、それには、自分で切り開いていく自主性はもちろん、様々な困難やつらさに出会っても夢を持続していける意志の強さが必要です。これは才能以前の前提条件です。
 声優コースで頑張りたいというあなたの夢が真剣なものであるなら、先生や親を「心配させたくないから」とためらうのではなく、反対されることも覚悟で自分の思いをぶつけてみることが必要に思います。そこをあいまいにしたままでは、もし学校を替えたとしても、また「つらい、合わない」ということになってしまうかも知れません。
 他人への配慮は大事なことですが、周りに気を使ってばかりいると本当の自分が見えなくなってしまいます。これは、あなたが今の高校にとどまるにせよ、夢に挑戦するにせよ、よく考えてみなければならないことだと思います。
 まず、自分の主要な目的や悩みは何なのか、整理してみて下さい。そして、現状を変えたいのか、声優コースのある高校に移りたいのか、自分のことを親身に思ってくれる方々にはっきりと伝え、その方々の意見にもじっくり耳を傾けてみてはどうでしょうか。その結果、意外な応援を得るかも知れませんし、場合によっては耳に痛い話を聞かされるかも知れません。また、考えもしなかった視野の広がりを得るかも知れません。
 肝心なことは、最終的に自分の人生を決めるのは自分だということです。それに責任を持つのもまた自分です。そして、選択した後には言い訳をしない覚悟も必要です。そのためにも、孤立したり独りよがりにならず、他人の話を聞くことはとても大事です。その上で、自分の生き方をどう選択するかを自分で決めればよいと思います。
bP20 反抗する2歳児

【相談】 ◆2歳8か月になる一人っ子の娘は、ほかの子のおもちゃを取り上げたり、ぶったりします。しかるのは逆効果と思い、「優しくできるよね」と言っても、「おもちゃが欲しかったんだもん」と聞く耳を持ちません。2歳の子どもに理解してもらおうというのが無理なのでしょうか。反抗期とは分かっているのですが。  
   
【回答】 ●大人の常識から見て「訳が分からない」と感じる子どもの行動にぶつかると、親としては戸惑うものです。子どもに分かって欲しいと願えば願うほど、逆の結果になってしまうものです。
 こんな時、むきになって「どうしてお母さんの言うことが聞けないの」などとやけを起こさないで下さい。お子さんは、お母さんなしでは生きていけません。自分の欲しい物を買ってもらおうと泣きわめく子も、お母さんが子どもを置いて立ち去ろうとすると、泣きながらお母さんの後を追いかけます。
 お子さんの「わがまま」「身勝手な行動」は、わざと無理難題を投げかけて親を困らせていると考えるよりも、そのことで親の愛情を確かめる、どこまで許してくれるか探りを入れる、といった側面が隠れていることも忘れないで欲しいのです。いつも親に言うことを聞いてもらい、何をやっても許されるという状態になると、親の本音がかえって分からなくなり、不安になって、困らせるようなことをエスカレートさせる場合もあるのです。
 もし、親の立場から見て、将来身につけて欲しくない態度がお子さんにあったら、それはいけないことだからやめなさい、と親の気持ちを正直にぶつけることも大切です。「そんなことをする子はお母さんは嫌いです」とはっきり宣言することも必要なのです。親のはっきりした拒否のおかげで、自分の気持ちに踏ん切りがつくということもあるのです。
 もちろん、親のこうした拒否の態度はあまり乱発するものではありません。親が自分をかわいがってくれるという確信が子どもの側にあれば、長い目で見た時、こうした親の態度が子どもを自立させるのです


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