| bP21 納得できぬ学校の対応 【相談】 ◆小学4年の息子は体格が大きくて動作も言葉も遅いため、よくいじめられます。度重なる中傷に傷つき、おう吐や体のけいれんなどの変調が現れ、しばしば感情を爆発させるようにもなりました。学校の備品を壊したり、友達にけがをさせたこともあります。校長からは息子の「異常行動」を指摘され、ストレスが原因と言われましたが、結果ばかりを重視する学校側の対応に納得できません。 【回答】 ●いじめは、根底からその子の安心と自由を奪い取る行為です。そして、長い歳月にわたって「心の傷」として残るものです。だからこそ、その子を取り巻く多くの子どもたちや親や教師を含めた大人の力を結集して、解決して行くべきものだと思います。まして、けがをさせられたり、おう吐、けいれんまで起こしているので、精神的・肉体的にもかなり参っていると判断されます。一刻も早く、この事態を止めさせなければなりません。 学校は「いじめられている子にも問題がある」という考え方のようですが、まさしくその考え方が深刻な事態を招いているのではないでしょうか。いじめられている息子さんのつらさ、悲しさになぜ学校側や担任が寄り添うことができないのか、それが問題です。学校の備品を壊したり、ほかの子どもをけがさせてしまったとしても、そのような事態になってしまった状況を「異常行動」と見ている学校に対し、危惧(きぐ)を感じます。 いじめの具体的な対策ですが、まずは家庭を改めて子どもが安心して何でも言える場所にすることです。ゆったりとした雰囲気の中で、いじめの一部始終を聞き取り、どんなことがあっても「お前を守る」ことを話し、息子さんに「かけがえのない存在」であることを実感させる。 次に、両親は聞き取ったいじめの一部始終をしっかりメモし、学級担任(学校)に問題解決への努力を改めて要請することです。両親と担任の二者間で解決するのではなく、担任には子どもたちの背後にあるストレスや摩擦の実態を把握し、一人ひとりの子に寄り添いながら、何が問題だったのか究明してもらうことです。 カウンセリングも積極的に活用するべきです。学校や他の父母と協力して、解決のための具体的な方法を専門的な立場からアドバイスしてもらってはいかがですか。対立ではなく、「共感と協同(きょうどう)」を第一として粘り強く取り組むことをお勧めします。 |
| bP22 凝り性の息子 【相談】 ◆小学2年生の息子はかなり凝り性のようです。学校で教えてもらったことや面白かったことに、とことん没頭します。あやとりを始めると、風呂に入るのも歯を磨くのも忘れて夢中でやり続けます。習っている空手も、ところ構わず足を振り回します。没頭することが悪いとは思いませんが、よい導き方を教えてください。 【回答】 ●世間の人々と同じように規則正しい生活をお子さんに送らせたい、という親の思いはよく分かります。子どもが将来、社会にうまく適応していくことは、とても大切なことですから。 確かに、お子さんの凝り性はその点で心配な気持ちにさせるかも知れません。でも、逆に、何事にも集中できず、いつも散漫なお子さんでも心配になるはずです。ですから、凝り性という言葉を「没頭できる性質」と言い換えたらどうでしょう。ノーベル賞をもらったりする優れた学者の中には、子どものころ、とても凝り性だった人が少なくありません。一度面白いと感じたら、とことんその面白さの秘密を極めようとする人です。 そう考えると、凝り性のお子さんは素晴らしい個性の持ち主かも知れないのです。好きこそものの上手なれ、ということわざがあるではありませんか。そんな目でお子さんのすることを見つめられたら、お母さんに認められていると感じ、言うことを聞いてくれるかも知れません。 まず、お子さんの今凝っていることで、毎日の生活にも比較的差し障りのないことに、とことん付き合ってあげることです。お子さんとお母さんの気持ちが通じ合えたら、お母さんの願いに耳を傾けることになるかも知れません。 そして、その上で毎日のルールや生活習慣の点でどうしても守ってもらわなければならないことは、心を鬼にして妥協することなく主張することです。これ以上譲れないという時には、「ノー」と言える勇気を持つことも大切です。そのようにして、物事に集中して熱を上げることと、日常生活の気配りをすることとのバランスを身につけるように仕向けてほしいのです。 |
| bP23生徒をたたく短気な先生 【相談】 ◆中学2年の息子の担任は短気で、すぐに生徒をたたくようです。原因は生徒たちにあるようですが、ささいなことでたたく先生に子どもを任せていいのか、親としても不安になります。たたかないようにお願いしても、短気な性格が直るとは思えないし、あきらめるしかないのでしょうか。 【回答】 ●カッとしやすく、すぐ子どもをたたく教師を「ああいう性格の先生」と放っておくわけにはいかないでしょう。教育のプロであるはずの教師がそれでは務まりません。「教師」は「教諭」。つまり「教え諭す」のが本務です。「来年は担任が代わってくれるのを祈る」だけでは、いつまでたっても良い方向に向かいません。 教師も年を経るほどベテランと言われ、自分もそう思い込んでいると、謙虚な心を失い、「このやり方でいいんだ」と“自信”を強めてしまいがちです。一方、その教師に当たる子どもたちは次々にたたかれ、心の傷を多く受けていきます。お子さんがその教師を避けられればいい、という問題ではありません。 「親が『それは困る』と担任に直訴して、我が子に仕返しでもされたら」という心配もあるでしょうから、単独行動は控えた方がいいと思います。しかし、子どもたちが担任の良くない性格におびえ、楽しくない学校生活をずっと送っていることを思うと、何とかしなければなりません。 まず、お母さん方が情報を交換し合い、子どもたちがどんなことをした時に、どんなしかられ方をしているのか、情報をたくさん集めます。そして、できるだけ4、5人で校長を訪ねましょう。もちろん、事前に面会の約束をしておくのです。「話を聞いてほしい。詳しくは当日話します」ということにして。その時は学年主任にも出席してもらい、取りあえず主任から担任に伝えてもらいます。 その後の様子を子どもたちからも聞き、相変わらずということでしたら、今度は、担任、校長、保護者の話し合いの場を校長に設定してもらいましょう。その時、生徒全員の「担任へ希望すること」を無記名で書いてもらっておくとよいでしょう。 |
| bP24体育を休みがちな子ども 【相談】 ◆非常勤で週3回、体育を担当。体育の時間になると頭痛がして度々見学をする男子がいます。地域のサッカークラブでは朝の練習にも参加し、運動能力が劣っているわけではないのです。が、できない自分を見せたくない気持ちがあるらしく、自分で考えて「できそうもない」と判断すると取り組まないようです。一つできれば自信がつくと思うのですが、どんな対処法があるでしょうか。 【回答】 ●自信が持てないためになかなか新しいことに取り組むことが難しく、体育の授業を度々休む子どもについて、いろいろと手立てを考えて自信をつけさせてあげたいと悩んでいる、というふうに理解してよろしいでしょうか。 子どもの年齢によっても多少対応が変わってくるように思いますが、できるだけ、どの年齢にも共通して考えられることを話したいと思います。まず、先生が気にかけている子どもについて、担任の先生と相談したことはあるでしょうか。できることなら、体育の授業以外でも休むことはあるのかなど、もう少し情報を収集してから、適切な対応を子どもにかかわる人々とともに考えていけたらいいなと思います。 一つの授業での振る舞いが、その子どもの状況を雄弁に物語ってくれることももちろんありますし、周囲の大人が、気がかりな子どもを発見して支援しようとするのはとても大切なことだと思います。ですから、ご自分の教科だけを取り上げて考えていくよりも、その子ども自身や彼を取り巻く環境がどのような状態なのか、かかわっている学級担任や、教科の担任、保護者などが連携し、情報交換し、共通理解して対応していけるとよいのではないかと思います。 自分に自信が持てるようになってほしいと願うならば、周囲の人々の多くが、そして特にその子どもが尊敬している人が、上手に褒めたりすることが重要です。また、子どもにとって、どのような指導法を用いたら不安を最小限にして取り組めるのかなど、他の先生方とも情報を交換し、その子どもに適した方法を取り入れていけると有益なのではないかと思います。 |
| bP25ADHD児の父親 【相談】 ◆息子はADHD(注意欠陥・多動性障害)の障害があります。しかし、父親は平日ばかりか休日も自分の趣味ばかりで、子どもと全然かかわろうとせず、ろくに口もききません。カウンセリングの先生からも話してもらったのですが、聞く耳を持たず、息子のことには「かかわりたくない」「いないとせいせいする」と言います。 【回答】 ●ADHDを持つ子の養育は困難がつきまといます。なぜなら、休まる暇のないにぎやかさ、兄弟げんか、して欲しいことをなかなかしない、家族の生活リズムに合わない、外でのトラブルの後始末――などが日常茶飯事だからです。 親は養育に多大なエネルギーを使い果たし、忍耐を要します。そのうえ、この子どもたちは大好きなお父さんやお母さんにいつも注目してもらいたいのです。夫の協力が得られなければ、これらに加えて、もう一つの難題を背負うことになります。お母さんのため息が文面からも伝わってきます。 さて、育児に協力しない夫は、あなたにとって許し難いことでしょうか。趣味にかまける夫、子どもの行動が煩わしく感じる夫。あなたが求めているのは息子に一緒に向き合える夫のはずでした。ADHDを持つ子の養育の困難を共有し、支え合える夫婦、それはもちろん望ましいことです。しかし、一緒にカウンセラーを訪ねたり、話し合ったり、あなたは協力を得る努力をしてきたのに、なかなか現実にはそうならないようです。 この問題に直接お答えできる妙案は、残念ながら私には思い当たりません。しかし、ちょっと視点を変えて、あなた自身がまずADHDを持つお子さんとの生活をいくらかでも平穏で楽しめるようにするためにできることはないでしょうか。いつか、その中にお父さんを巻き込んでいける時があると期待しながら。 たとえば、ADHD児を持つ親のための「ペアレント・トレーニング」です。アメリカで発祥したもので、わが国でも各地で取り組まれるようになっています。これが目指しているのは、ADHDを正しく理解し、子どもの養育に必要な技術を学び、実行することです。また、「えじそんくらぶ」をはじめADHDのサポート組織が各地にできていますので、子どもに役立つ情報をキャッチすることをお勧めします |
| bP26パニック状態になる長女 【相談】 ◆小3の長女は困難にぶつかると落着いて対処できず、逆上したり人に頼ったりします。ピアノの練習で少し弾いただけなのに間違えていらいらしたり、ミニバスケも一度シュートを外すと「入らない」と言って助けを求めたりします。「泣いて人に頼っても駄目。自分で考えて練習するしか方法はないのよ」と言い聞かせても、いったん泣き始めると何もできない状態になります。母親の私はドライな性格で、どう接したらいいのか分かりません。 【回答】 ●ご心配よく分かります。特に、お母さん自身がドライな性格であったりすると、我が子の気持ちが理解できず、つらいものですね。 ですが、娘さんの気持ちも分かるような気がします。ピアノを間違えないで「上手に」弾こうとしているのにうまくいかない、ミニバスケでかっこよくシュートを決めようとしているのに失敗――。大人でもがっかりして、「あーあ」と嘆きたくなるものです。 ここまでの心の落ち込みそのものは、大人も子どもも同じでしょう。問題は、失敗すると一種のパニック状態に陥って、泣いたり怒ったり、何も考えられなくなったりすることです。どうしてでしょうか。これも娘さんの言動をじっくり受け止めてみると、おぼろげながら彼女の心の輪郭が浮き彫りになってくるように思います。 その理由の第一は、やはり自分のつらさやいらだちを親に十分に受け止めてもらえないつらさ、寂しさからではないでしょうか。 泣いて人に頼っても駄目、と言い聞かせられたのでは、つらくて泣き続けたくもなるのではないでしょうか。お母さんの指摘は正しいのですが、これではこの年齢の子どもには重すぎるように思います。お母さんと一緒に考えて練習することも、友達にヒントを得て上達することも可能でしょう。マラソンの高橋尚子選手だって、小出監督との二人三脚で金メダルを獲得しているのです。決して誰かに頼ることがいけないわけではないのです。 娘さんは、お母さんに自分のつらさを「丸ごと」受け止めてもらいたいだけなのです。きっとお母さんは、「他人に頼る子になってしまう」と娘のためを思って厳しくしておられるのでしょう。あるいは、ご自身のこれまでの生き方がそうだったのかも知れませんね。でも、娘さんはまだ小3です。たっぷり愛情を注いで手をかけてやって下さい。お母さんの愛情がたっぷり感じられるようになれば、いつの間にか、親をあてにしないたくましさを持つように成長するものですよ。 |
| bP27 いじめで登校できない息子 【相談】 ◆中学2年の息子は、同級生にいじめられて5月から学校を休んでいます。学校側は「きちんと相手の子に指導している」と言いますが、ただただ「穏便に」という態度で、息子は怖がって今も学校に行けません。先方の親も知ってか知らずか、全く無関心のようです。本人は学校に行きたいようですが、どのように対処すればいいでしょうか。 【回答】 ●いじめ問題で学校側は多くの場合、「穏便にしたい」という態度を取ります。そのことが解決を長引かせたり、問題を深刻にさせたりするケースがしばしばあります。いじめを受けている子どもの側からは、学校の事なかれ主義的な態度には断固として問題解決を迫る必要があります。 まずは担任、そして生活指導の責任者の先生、学年主任や教頭、校長といった一応の筋を追いながらも、明確に主張しなければなりません。親が子どもの最大のサポーターですから。「謝ればいい」といった安易な態度で事を終わらせたい、という相手の態度も予想されます。先方の子どもや親に対し、いじめの重大さ、深刻さを教えるよう学校側に迫ることが必要です。 しかし、いろいろな段階を経ても、どうしても子どもさんが同じクラスに行けない、行きたくないのであれば、それを前提として子どもが一番希望することは何かをしっかり確認して下さい。クラス替え、転校、別室での登校学習などが考えられます。もちろん、例えば転校といっても遠隔地であれば通学条件もあり、簡単ではないと思いますが、子どもの希望をつかむのは大切です。 転校は、地域によって異なりますが、今はいじめが主要な事情であれば、転校の措置をとることはそんなに難しくないと思います。あなたが住む地域の教育委員会で相談して下さい。その際は「どうしたらいいでしょうか」と持ちかけるより、「こういう方法が子どもと親の考えだ」というように、きちんと伝えた方がいいと思います。 あなたの深刻な気持ちに即して言うことができたか心配ですが、子どもさんの今の気持ちをしっかりサポートしながら対応して下さい |
| bP28 こだわりが強い3歳の女児 【相談】 ◆1歳の妹とともに親子教室に通ってくる3歳の女児との接し方で悩んでいます。何事にも「こだわり」の強い子で、周りが見えません。食べ物にもこだわり、衰弱したこともあるそうです。母親は「家では、ビデオを見ている時はおとなしいが、危ないことを制止してばかりで疲れる」と言います。教室に通い始めた昨年の1学期は泣き通しで、目も合わせませんでしたが、2学期からは泣かなくなり、目を見てくれるようになりました。 【回答】 ●毎日、親子の状況に心を砕きながら、適切な対応を目指す先生の姿勢に頭が下がります。さらに、私は、3歳と1歳のお子さんと一緒に親子教室に通う親御さんにも頭が下がります。大変な子育ての真っ最中に、よく通い続けたものです。 こだわりが強いという頑固さ、目が合わないというコミュニケーションの難しさ、危険な行為のたびに制止する日々。せめて、お互いのしばしの休息のために家でビデオを見せる親の姿勢に、私は「そうだよね。その時だけでもゆっくり互いに休もうね」と思ってしまいます。2学期からは泣かずに通い、先生と目が合うようになったことを、まずは親と一緒に喜びたいところです。この子の課題が大きいだけに、飛躍的な展開を期待するより、ささやかな日々の変化を一緒に喜び合う先生の存在こそが、親にとっては支えとなるように思います。 具体的な対応としては、動きが激しい場合は余り制限せず、くすぐりや追いかけっこなど、体を使った遊びを取り入れます。楽しく、喜びながら遊ぶことがポイントでしょうか。大きな動きの後は少し座ってもらい、「型はめ遊び」などを楽しみます。こうしたメニューは、混乱を避けるため、所要時間を毎日同じにするなどパターン化しましょう。何事も「始まりとおしまいがある」という規則性を知ってもらい、そのなかで十分に楽しめることを目指します。声のトーンや大きさが本人に心地よいかどうかに配慮していただければうれしいです。 偏食については、しばらくは「同じメニューでも食べてさえいてくれれば」という気持ちで、無理強いをしない方がいいかも知れません。この子や妹にとって、親子教室が楽しいところだと理解してもらえたら、目的の多くは達成したと思って下さい。 この子の育ちを客観的に見続ける目も大切ですから、医療や相談機関との連携を考え、定期的に連絡を取っておくことをお勧めします。親御さんとの二人三脚で、この子の育ちを見守ってあげて下さい。お願いします |
| bP29 社会関係が築けないいとこ 【相談】 ◆小4と5歳のいとこの姉弟は、社会関係がうまく築けないようです。姉はまったくしゃべらなくなることがあり、そうなると話しかけてもうなずくか首を振るだけ。表情も乏しく、学校では当番をさぼったりするそうです。弟は、気に入らないことがあると暴れ出します。親子のコミュニケーションが十分取れていないようで、母親は子どもを祖母に預けてパートをしているうえ、飼っている犬の世話に熱中しているようです。 【回答】 ●至急、神経小児科医に、姉弟の一連の行動を診断してもらうべきです。この子どもた ちの年齢や症状からみて、精神科医や神経内科医ではなく、神経小児科医に診せて下さい。数が少ないのでなかなか見つかりませんが、住居地が大阪なら滋賀県や京都市の大きな総合病院や、病院でなくても神経に問題のある子どもさんを集めて治療しているところがありますので、相談したらいいと思います。大阪の小児科医の実情は分かりませんが、各府県の医師会にお聞きになるのもいいと思います。 さて、学校の当番をさぼるのは、本当に「さぼる」のか、それとも「できない」のかの区別を専門医が判断することが重要です。「発言しない」「笑わない」などは、過緊張による「場面緘黙(かんもく)」の可能性があります。私のカウンセリングルームにも、心の病気による同様事例が1件あり、家庭ではよくしゃべるが、近所の精神科医の作業所ではしゃべりませんでした。 この母親は子どもより犬の世話を重視しているようです。子どもとの接触時間が少ない上に、子どもたちの問題を無視してこのような態度を取り続ければ、家庭崩壊につながる可能性があります。経験豊富なカウンセラーが介入して、子どもが母親の愛情をいっぱい受けていると感じるように、母親の態度を早急に変えさせなければなりません。 「社会関係が築けない」「親子のコミュニケーションが取れない」という二つの問題を、素人が簡単に解釈するのは間違いのもとです。神経小児科医と経験豊富なカウンセラーの力に頼って、辛抱強く、子どもたちの治療と母親の態度変更を図っていくべきです。 |
| bP30 1歳の娘をしかってしまう 【相談】 ◆1歳7か月の娘のことが不愉快で、大声で「やめなさい」「だめって言ったでしょ」としかってしまいます。できないのに牛乳をコップにつごうとしてこぼしたり、何度も坂道でボールを転がしては私に取りに行かせたり。考えてみると怒るほどでもないのですが、ついどなってしまい、時々おしりもたたきます。おどおどと私の顔色をうかがう娘を見て、ますます腹が立ちます。 【回答】 ●あなたは、お嬢さんの行動に不快を感じて怒りを抑えられないと記されています。まずはここに相談になったことに敬意を表します。このように書き表すこと、相談の決心をすることは大変だったと察します。 1歳7か月のお嬢さんが、牛乳をコップに注ごうとしたり、飽きることなくボールを坂道で転がす。言っても言っても聞かない。これまではお母さんが牛乳を注いでくれるのを待っていたことでしょう。ボールを転がして遊んでも、そんなに遠くには転がらなかったことでしょう。 ところが今は違うのです。お母さんがやっていることを自分でも上手にできると思うのです。自分の能力についての自信は絶大です。坂道でボールを転がすのも同じです。ボールが転がることがうれしい。それをお母さんが拾って持ってきてくれる。また転がす。この循環は、お嬢さんがコントロールする楽しい遊びになっています。これは赤ちゃんから幼児への発達の現れです。そして、このような経験を積み重ねながら、自分でできるという感覚を強めていきます。これが自律です。 1歳7か月の子どもに、まだ自分の限界は分かりません。無理なことでも、危険を伴うことでもやろうとします。できないと大騒ぎになることもあるでしょう。お母さんにはハラハラ、イライラすることばかりです。ついつい「やめなさい!」の連発になりがちです。この時期には子どもができそうなことはやらせ、助けが必要な時は助けてあげることが大切です。「やめなさい」と言うよりは、「こうしたらいいんだよ」と望ましいお手本を示し、やり方を教えていく時期です。 お嬢さんはお母さんに養育の姿勢を変えるよう求めている時なのでしょう。今までのようにはいかなくなる時、それは子どもの心の発達的変化の時なのです。「何か変」と感じて戸惑ったあなたは、決して間違っていないのです。楽しい子育てをして下さい。 |
| bP31身なり検査が厳しい中学校 【相談】 ◆今春から娘が通っている中学校には「身なり検査」というのがあり、髪形から服装まで細かく規則が決まっています。髪をゴムで縛ってはいけない、肌着は白のみ。かばんの中の持ち物検査まであり、誰もいない教室で先生がかばんを調べることもあると聞きました。生徒たちは一様に不快感を訴えています。人権侵害ではないのでしょうか。 【回答】 ●1980年代というと、もう四半世紀前になりますが、全国の中学校で校内暴力や校舎破壊、いじめなどあらゆる問題が起きて、学校の生活指導が大変な時期がありました。 そのころ、生徒の生活をきちんとさせることが最も大切だというので、頭髪の長さや形、服装などを「きちんとさせる」指導に力を入れ始めた学校がどっと増えました。学校で決めた服装以外は認めず、「違反者は校内に入れない」と細かい規則を作り、それに反した生徒を「問題生徒」として厳しく指導していきました。その後、それが行き過ぎ指導として是正された経緯があるのです。 教師が指導する場合に、常に念頭に置いておかなければならないことは、「学校は人を育てる場であり、子どもたちが希望を持って出かける場でなくてはならない」ということです。そこには当然、人権を大切にする教師の心構えがなくてはなりません。 果たして、娘さんが通う学校ではどんな「人育て」の目標を掲げているのでしょうか。 子どもたちをどう育てようと教師は話し合ってきたのでしょうか。服装や髪形などの異常なまでの検査状況をうかがうと、おそらく「子どもたちも一人の人間として、人権はしっかり守られるべきだ」という認識が欠けているように思えてなりません。子どもたちが一様に不快感を訴えるほどの検査は尋常ではありません。 この問題は教師任せにせず、PTAでも話し合い、生徒・PTA合同で話し合いの場を持つなどして、一つの場で十分議論し合う必要があります。「教育委員会に訴えれば」と発想する保護者もいますが、それでは問題は解決せず、かえって話はこじれてしまうでしょう。疑問を抱いているのはあなただけではないはずです。ぜひ仲間に呼びかけ、こうした疑問点について議論や検討の場を持とうと働きかけて下さい。 |
| bP32 学校で問題を起こす長男 【相談】 ◆姉二人がいる小3の長男。最近、友達の靴を隠したり、教科書や学校からの手紙を持って帰らなかったりします。言い出したら絶対に聞かない頑固な性格で、けんかでも相手の友達を許すことができないらしく、担任からは「もっと甘えさせてあげてほしい」と言われました。どうやって改善すればいいでしょうか。 【回答】 ●あなたのお子さんについて伺った範囲では、お母さんが先生などに言われたままに子どもを見て、自分自身でお子さんの長所や短所をしっかり見ようとせず、悩んでいるのではないかと思います。また、男の子はお姉さん二人の成長の様子とはかなり違うはずです。そこで、お話の内容を考えてみましょう。 まず、友達を許せないこと。なぜ許せないのか聞いてあげましたか。かっとなる子は、病的な場合と、周囲が分かってくれないことへの反抗の表現とがあるようです。前者は専門医の診断が必要ですが、後者は何が分かってもらいたいのかを見極めてやることが大切です。 また、靴や筆箱などの物隠しは、3、4年生くらいまではよくあることです。面白いからやるのではなく、自分の気持ちが表せないためにやるのです。教科書などを持って帰らないのも、分かってもらえない親への抗議の表現であることが多々あります。小学3年生くらいになると自我意識が強くなり、いろいろなことを能力以上にやろうとして、特に男の子は友達関係のトラブルが多くなります。 お母さんが仕事などで忙しく、言いたいことを聞いてもらえず、素直な気持ちが出しにくい関係になっていないでしょうか。先生が「甘えさせて」というのは、親に心の痛みを聞いてもらいたい子どもの心情を受け止めてほしい、ということではないでしょうか。 お母さんはまず、聞き上手になることが一番だと思います。子どもには先生にも親にも言えないことがたくさんあるものです。ですから、親は周りの人ばかり気にせず、確かな自分の目と心で我が子の良いところや悪いところをとらえ、本当のことが言えたり、我慢ができたりしたら褒めてあげる。また、どうしたらいいかを分かりやすく教えてあげる。親は聞き上手、褒め上手、教え上手になることが大事です。 子どもは友達関係をはじめ厳しい試練を一つひとつ乗り越え、日々成長します。頑固なのも成長過程の一つとみて、大らかな心で成長を温かく見守ってあげましょう |
| bP33 友達を傷つける男児 【相談】 ◆クラスの男児は何かむしゃくしゃすることがあるのか、遊んでいる時に物を壊したり、友達を傷つけたりします。問いただすと、自分なりに理由は話すし、悪気はないようです。何らかの障害も考えられますが、同じクラスの保護者から「子供が幼稚園に行きたがらない」と言われたこともあります。男児の母親やほかの保護者に対し、教師としてどう対応すればよいでしょうか。 【回答】 ●最近、ささいなことに過剰に反応し、衝動的な行動を取る子どもが増えたという話をよく聞きます。原因は実に多様で、ご心配のように何らかのハンデを抱える場合もあるようです。例えば学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD) 。周囲がこれに気づかず、注意を繰り返すうち子どもにストレスがたまり、衝動的な行動を取ることもあるようです。 ただ、大半は子ども本人よりも周囲の環境に問題があります。つまり、家庭や園の環境が子どもと摩擦を起こしているわけです。特に母親の存在は大きいですから、この点に目を向けることは重要でしょう。 しかし、相談の問題行動は園内のことです。とすれば、親子関係の前に保育を見直す必要もあるでしょう。年齢や時期によっては、園生活の中で十分に自己が発揮できずにいることもあります。全員で参加する「一斉活動」に重点が置かれ、自由な行動が制限されていればストレスもたまるはずです。トラブルの際、保育者の対応によっては不満が残る場合もあるでしょう。 そんな時、保育者が見る目を変え、受容し、共感するようにかかわり始めると、子どもも落ち着きを取り戻します。また、保育者が仲立ちとなり、友だちと楽しい遊びを繰り返すと良い関係も生まれます。 特に体を思い切り使った遊びは効果的です。荒れる子、キレる子という言葉も耳にしますが、レッテル張りの前にすべきことはたくさんあるはずです。 いずれにしても、すぐに母親に問題を突きつけることは逆効果。どんな親でも我が子を否定されることは気分が悪いもの。まずはその子の良い姿を伝え、信頼関係作りに努めましょう。関係ができれば、母親と共に問題の背景を考えることもできるはずです。その間、けがなどをさせた場合は母親から一言おわびを言ってもらうなど、ほかの保護者との関係も上手に仲介してあげて下さい。少しずつ、親同士の関係も変化が見られるはずです。粘り強く、長い目で対応してあげて下さい |
| bP34 情緒不安定な娘 【相談】 ◆県立高2年の娘は情緒不安定で、最近、授業をじっと受けることができず、夜は眠れなくて散歩に出歩きます。ある男子生徒と仲良くなり、「友達のところに泊まる」と言って一緒に寝泊まりもします。会話はうそばかりで、家庭でうまくいかないと暴れ出します。大学2年生の姉も1年前にうつになり、引きこもりになりました。私が仕事にのめり込んでいたためでしょうか。夫は全く関心がない様子です。 【回答】 ●上の娘さんが大学生になってからうつになり、真面目だった妹さんも情緒不安定になったあげく、男の子と寝泊りをし、親や周囲の大人にことごとく反発し始めたとのこと。お母さんとしては一生懸命頑張ってきたのに、さぞかし暗たんたる気持ちだと思います。 ただ、うろたえても何の益もありません。少し冷静になって考えてみませんか。 お母さんが頑張っていたからでしょうか、二人の娘さんもお母さんの期待に違わぬよう今まで随分努力されてきたように見えます。しかし、結果としてそれが裏目に出てしまいました。もしかすると娘さんたちは自分の意に沿わないことでもお母さんの手前、 異を唱えることもなく、じっと我慢してきたのかも知れませんね。性格的に真面目で、何事にも一生懸命に頑張る子どもによく見られるパターンです。 まだ年齢が若く、お母さんの言うことをそのまま信じられた時はそれでも良かったかも知れません。しかし、自我を持ち、自分の世界が形作られる年齢になっても、なおかつ自分を抑えて合わせ続けることは、自分では処理しきれない爆弾を抱えて生きているようなものです。お話から察すると、そこに原因があるのではないかと思われます。 下の娘さんは今、自分を押し殺してきたその反動の嵐の中で自分を失っているのでしょう。しかし、元々は真面目で一途な性格を持っているのですから、やがては鎮まるものと思います。荒れる中でだんだんと本来の自然な自分の姿に気付いていくものと思います。 ですから、今はお母さんにとってつらい時期でしょうが、ことさら非をあげつらったり、正しさを押し付けていらだたせるのではなく、そういう娘さんのつらさも思いやり、母として変わらぬ愛を注ぎながら、娘さん自身が自然に気付いていけるような温かいかかわりを続けてあげてください。そうすればきっと立ち直っていきます。 |
| bP35 知的障害児の中学進学 【相談】 ◆軽度知的障害と診断された小6の息子は、学校の生活には問題がなく、通級教室に通っています。好きなことにはこだわりが強く、豊富な知識を持っています。「レーサーになって外国に」というのが夢です。教科では英語が得意で、数年遅れても高校を受験させたいと思っています。遅れがちな学習を身につけさせるために、中学はどこを選んだらいいのか、悩んでいます。 【回答】 ●お子さんのこれまでの育ちを詳細に書きながらも、まだ十分に伝え切れていないのではという親の思いが、質問の行間から絶えずあふれてきます。この子は大切にされてきたのですね。ご両親は、この子と育ち、育てる関係の中で、共に育ってきたのでしょうね。 さて、その子も中学進学を控え、さらに親を悩ませているようです。 私としては検査も含め、その子にある障害について十分な説明を受け、今の課題を明確にしておいた方が良いのではないかと思います。本も数多く読まれたようですが、この子は本の中の子ではなく、今をまさに生きているわけです。また、「やさしく人の心をくみ取れる子で、集中力もある」と記載されているように、障害とは別な意味で、この子にある性分や個性ともいえる部分も明らかにしておくべきでしょう。 それから、今の担任ともよく相談しながら、地域の中学校を見学し、わが子にふさわしい居場所を関係者とともに検討すべきでしょう。現在は通級教室を活用しているということですし、彼にも見学してもらって判断してもらう方がよいでしょう。登校後は、彼一人で自分を守りながら学校生活を送らなければなりません。周囲の理解者は多いほどよく、小学時代からの友人は継続される方が望ましいのですが、彼の意見や自己選択をできるだけ尊重したいと思います。 特に中学以降の学校選択では「行きたいところ」と「行けるところ」は異なるし、親がよかれと思うことと子ども本人の思いも、必ずしも重なるものではないと実感しています。こうした人生選択には、唯一絶対の正解も不正解もないと思います。 私たちができるのは、道を指し示すことと、若干の助言をすることです。指し示す多くの道から一つの道を選択するのは本人しかないと思います。私たちが選んでしまうのは慎むべきで、自己選択、自己決定の機会をできるだけ増やしてほしいと思います |
| bP36 ゲームに夢中の高校生 【相談】 ◆高校1年になる長男はテレビゲーム漬けの毎日です。勉強するように言っても、10分も机に向かえば3時間くらいやった気分のようで、「もうやった」と答えるばかり。あまり口うるさく言うと、反発して壁をたたいたり、弟に当たり散らしたりします。何とか高校には入りましたが、今もゲームが生きがいのような状態で、将来が心配でなりません。どうすればゲーム以外のことにも興味を向けてくれるのでしょうか。 【回答】 ●高校生になってもゲームに熱中となれば、親が心配するのも当たり前ですね。10分もやれば3時間もやった気分になっているとのこと。その後は、やはりゲームに熱中しているのでしょうか。とすれば、今しっかり対策を立てないと後悔しかねません。 ただ、難しいのは、すでに反抗期に入っており、親の命令的、強制的な方法では暴力に訴えた反発を示すため、あまり有効ではないということです。しかし、今からでも遅すぎるということはありませんので、ご安心下さい。 第一にしていただきたいことは、一日の生活状態を自分で相対化し、総合的にとらえさせることです。ゲームに費やす時間の多少にかかわらず、一日の生活全体をメモさせて24時間の様子を客観的に眺めさせることです。反抗するくらいの思春期に入っているわけですから、自分自身を客観視する力は備わっているはずです。 その結果、あまりにもひどいゲーム漬けの生活実態が浮き彫りになれば、きっと自分でも問題点に気付きます。恥ずかしくなることでしょう。そしてゲームを完全にやめないまでも、生活の改善に乗り出すはずです。親は、その際のアドバイスや励ましを与える役割を果たしてほしいのです。 自信がなければ担任の先生に相談し、サポートしてもらってはいかがでしょうか。先生にリードしてもらいながら、自己相対化の作業に入らせるのも一つの方法です。学校と家庭で彼の生活の確立を促すのです。親には「ムカツク」我が子も、先生のサポートが入ると聞く耳を持つものです。 ゲームの追放だけに目を奪われるのでも、勉強をさせようと焦ってゲームをやめるように迫るのでもなく、生き生きとした生活作りの視点から語りかけ、生活改善の一つとして取り組んでみてはいかがでしょうか。 |
| bP37 わがままの多い長女 【相談】 ◆小学4年の長女は福岡の夫の実家に一人で遊びに行き、戻ってから「ここには自分の気持ちを分かってくれる人がいない」と泣いてばかり。外ではしっかりした子で通っていますが、家ではわがままも多く、理由を問うと、「3歳下の弟ばかり親がかまって寂しい」と言って嘆きます。「ママは私を絶対に見捨てないから悪いところも見せられる」と言ったこともあります。夫は「たたいてやらせるしかない」と言いますが、私は反発して逆効果のような気がします。福岡の実家のように、何でも好きにさせた方がいいのでしょうか。 【回答】 ●私自身、小児を専門とする精神科医ではないのですが、現時点では、まだ心の病のレベルには至っていないように思えます。おそらく、このくらいの年齢では、思いきりかまってほしい気持ちと、ある程度しかられてもという気持ちが交錯していて、その振り子が大きく振れているのではないでしょうか。 私の考えでは、こういう場合、「どのように対応したらよいか」に正解はありません。 ご主人の言うようにたたいてやらせるのも、一つの「正解」かもしれません。最近の精神医学では、たたくまではともかく、このレベルの言動の問題について、賞と罰で行動を修正する行動療法のアプローチの方がうまくいくと考えられています。いろいろと話を聞いてあげたり、ひたすらに愛情をかけたりするよりも、効果的だというのです。 他方で、精神分析的な考え方の人たちは、とにかく愛情をかけ、子どもに愛されている安心感と自信を与えるのが一番、と主張します。 世の中には、過保護と言われるほど愛情をかける家庭もあれば、虐待に近いほど厳しく育てる家もあります。行動療法の立場や精神分析の立場からは正解の子育てをしていても、やはりうまくいかないケースがあるのが現実なのです。 お子さんが、外ではしっかりしたいい子なのに、あなたには「ママは絶対に見捨てないからどんな悪いところも見せられる」と答えたのは、とてもよい兆候だと思います。おそらく本音ではママの愛情は疑っていないのでしょう。ならば、今のままやっていても、心配するほど大きく崩れることはないように思います。 もちろん、いろいろ試してみる価値はあるでしょう。「福岡のやり方がよかったのなら、何でもやってあげるわ」と言って、そのやり方をずっと試してみれば、さすがにしかってほしいと思うようになるかも知れません。たたいてやらせるのが有効かも知れません。愛情は保ったまま、いろいろと試してみて、よくお子さんを観察し、いい方向だと思えるものを選ぶという現実的な方法もあります。 |
| bP38 漢字が苦手な小学3年生 【相談】 ◆二男は小学3年になってから漢字が苦手になりました。漢字が書けず、書き順もめちゃくちゃ。1学期の通信簿は「漢字や語句の正しい読み書き」が「もうすこし」でした。ふだんは読書が大嫌いで漫画しか読みません。兄は漢字が得意で、勉強を見る必要がなかったので、どう克服すればいいのか分かりません。 【回答】 ●心配なようですが、漢字の苦手な子どもは結構います。こんな子は読書も苦手です。 漢字を克服する一つの方法は、「覚えなくていいから、大きく美しく書こうね」と言って、大きく書かせることです。覚えることを決して強調しないことです。美しく書けたら大いに褒めましょう。 つまり、褒める材料を見つけて伸ばす方法です。私の担任時代は、プリントを千枚くらい作っておいて、時間があれば教科書を見て書かせました。すると、プリントを家に持って帰る子どもが出てきたので、大いに褒めました。「覚えなさい」と言わないことがコツです。 もう一つの方法は、国語辞典に親しませることです。私は小学校1年生から辞典を遊びで使わせました。1年生から使える物がいくつも出版されています。一つの言葉を引いては、その言葉を付せんに書いて辞典にはり付けるのです。付せんの数が増えるのが楽しみで、次々と引きます。大切なのは付せんの量で、これで「頑張っているな」と自覚できるのです。 辞典は、引くことができればよいのです。決して覚える必要はありません。4年生に県名を覚えさせる方法も全く同じで、白地図をどっさり印刷しておいて、毎日帰りに地図帳を見て書いてから帰るようにするのです。これを1か月も続けると、いつの間にか県名だけでなく県庁所在地まで、漢字で覚えてしまいます。 象形文字の面白さなどの本を買ってきて、一緒に「川の流れが漢字になっているね」という方法もあります。いい本がいろいろ出ています。 要するに、楽しみながらやること、ゆっくり時間をかけてやること、覚えようとさせないこと、遊びのような感覚で毎日繰り返しやることです。 |
| bP39 部活でいじめられる中学生 【相談】 ◆転校してきた中学校のバスケットボール部で、いじめに遭っています。仲間外れにされたり、ねん挫で見学していても無理やり練習させられたり。中学から始めたバスケは上手ではなく、わざと聞こえるように嫌みを言われます。チームスポーツなので、ほかの部員との関係を断ち切るわけにもいきません。先生も部の雰囲気が良くないことは分かっているようです。 【回答】 ●いじめの相談は、本当にいやなものです。「もし自分ならどういう態度をとるだろう」と考えると、だんだん気が重くなります。しかし、あなたが少しでも生きていることに悲観せず、喜びを感じることができればと思い、私の考えることを書きますので、参考にしてください。 いじめや嫌がらせを受けないようにするためには、いじめをする人たちに対し、その「非道さ」を気づかせて、やめさせることが第一の道です。 しかし、これが簡単でないことを私自身よく知っています。いじめをしている子どもに指摘すると、ほとんどは「遊んでいるだけ」と否定します。あるいは、「証拠を見せろ」などといいます。いじめられている側が、そのことをはっきり言えないと知っているからです。だから、いじめを受けていたという証拠をはっきりさせる必要があります。いつ、誰が、どこで、などをメモしてください。医者にかかれば、診断書も必要です。 そして、あなたと親が必死になって先生に言うことです。まず部活の先生、そして担任あるいは教頭、校長、それでも駄目なら教育委員会の担当者に言わなければなりません。「必死になって…」といったのは、そういう気持ちをもって臨まなければ、先生は本気にしないという悲しい現実があるからです。いじめをしている人たちが反省し、あなたに心から謝れば、問題は解決すると思います。 以上の方法が難しければ、第二の方法は、いじめを受けないように、あなたがその状況から離れることです。それは、部活動を変えたり、さらに少し大きな問題かも知れませんが、転校したりすることが考えられます。転校は、教育委員会と相談すれば認めてもらえます。死ぬ思いをしてまで登校する必要などありませんが、登校を拒否するとしてもそれは最後の手段です。 いじめをやめさせることと、今の部活動をやめることを同時にするのが一番です。いずれにせよ、一番信頼できる人(親、友人、あるいは先生)にぜひ相談してください |
| bP40 祖母の死から不登校に 【相談】 ◆担任している高校2年の女子生徒は、昨年末から「人の目が気になる」などと訴え、登校しても別室で過ごしています。よく話を聞いてくれた祖母の死が契機になっているようです。「親は自分を認めてくれない」と言うので、母親と面談しても、「話をしてみる」と答えるだけで危機意識がありません。このままでは出席日数不足で進級できません。本人は学校をやめたいと訴えており、転校するなら通信制が現実的ですが、親は学校を続けることを希望しています。 【回答】 ●祖母の死がきっかけとなり、教室に入れなくなったのではないかということですが、この生徒が先生に訴えている内容からも、今とても苦しんでいることが分かります。そして、本人はそのつらさを先生に話すことができても、母親には理解してもらえないと感じています。 彼女は今まで、自分の母親に悩みを訴えることができずにきてしまったのではないでしょうか。また、もしかすると母親の方も、娘を自分の手でしっかりと育ててこられなかったという思いをどこかで持ち、娘の抱える問題に踏み込めないのかも知れません。母親が今の娘の状態を理解し、つらい気持ちを聞き、しっかりと支えていくことが必要だと思います。 留年や進路変更という現実問題はありますが、母親が「アルバイトをしながら通信制に通えるとしたら大したものだ」「留年しても、4−5年かけて卒業したっていいじゃない。お母さんは応援しているよ」と言って娘の状態を受け止めることができれば、本人も少しずつ前向きになれるのではないでしょうか。 母親の理解がなかなか得られない場合は、父親に働きかけてみるのも良いかも知れません。 お年寄りに手をかけられて育った子どもの中には、自分の親にどこか遠慮してしまう場合があり、そんな時は親も子も互いに寂しい思いをしてしまうことがあります。彼女は、教室に入れなくなるということで、親に真剣に自分に向き合ってほしいと訴えているのではないでしょうか。 また、先生も気にかけているように、「人の目が気になる」と訴えている点は心配です。専門医に相談することも含め、親と子が、もう一度じっくり話し合っていただけたらと思います。 |
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